見た目を美しくするためとはいえ、安全性は確認したい

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常に指の先までおしゃれに気を使うマメな女子でも、ジェルネイルに使われる紫外線ランプの影響や、マニキュアの成分について知っている人は少ないのではないだろうか。

紫外線の強さは太陽光の4倍

ジェルネイルは従来のマニキュアと比べて持ちがよく、艶やかな指先を3〜4週間もキープできることから若い女性を中心に人気を集め、自宅でできるセルフキットなども普及している。

マニキュアのように乾燥に時間がかからず、爪の保護にも役立つが、ジェルを固める際に使用する紫外線が皮膚にダメージを与える恐れがあるとして、米国皮膚科学会(AAD)はウェブサイトを通じて注意喚起をしている。

ジェルネイルは合成樹脂(ジェル)を爪に塗布し、紫外線や可視光線を照射して硬化する「光重合(フォトポリマリゼーション)反応」を応用したもので、固める際には専用の硬化ライトを用いる。硬化ライトには大きく分けてUVライトとLEDライトがあり、ジェルの種類によって使い分ける。

AADによると、ジェルネイルは遺伝や疾患、ある種の薬の服用などにより紫外線感受性が高くなっている人には適さない。紫外線には波長の長いA波とB波があり、硬化ライトに使用されているのはA波。エネルギーはB波ほど強くないが、皮膚のDNAやコラーゲンにダメージを与え、肌の老化や皮膚がんのリスクを高めることがわかっている。

硬化ライトの紫外線の強さは太陽光の4倍。1回の施術で照射する時間は短いが、強い紫外線を繰り返し浴びることで皮膚へのダメージは蓄積する。紫外線感受性が高くなくても、頻繁に塗り直す人や、若いころからジェルネイルをしている人は注意が必要だ。また、「LEDなら安全」というのは誤解で、紫外線を浴びることに変わりはないという。

サロン利用でも自己防衛を

AADはジェルネイルによる紫外線被害のリスクを減らすため、以下の対策を推奨している。

自分で塗る場合:ジェルの成分によって使用する硬化ライトが異なるため、必ずライトに合ったジェルを用いる。説明書の指示に従い、硬化時間を守ること。

ネイルサロンで塗ってもらう場合:本来はサロン側で配慮すべきだが、利用者も自己防衛をすること。紫外線保護指数(UPF)50以上の指先のないUVカット手袋などで手をカバーする(黒い手袋の指先をカットして代用しても可)、SPF30以上の日焼け止めを施術の15分以上前までに塗るなどの対策を。ただしUPF衣料は洗濯を繰り返すと紫外線保護効果が落ちるので注意。また、日焼け止めはジェルを塗布する際の妨げになるので、爪を避けて塗ること。

適切に用いさえすれば、ジェルネイルはおしゃれな指先を長くキープできるだけでなく、爪の保護にも役立つ。病気や外傷によって変色や変形した爪にも使え、色や形をカバーしてくれる。AADは、こうした患者にとってジェルネイルは「人生を変えるような」ネイルだと利点を強調し、使い方を守って楽しんでほしいと呼び掛けている。

マニキュアは「雑貨」ではない

「自分で塗るならマニキュア派」という人も多いだろう。ジェルネイルよりハードルは低いが、マニキュアの方が安全とは限らない。

最近は雑貨店や100円ショップでも、さまざまな種類のマニキュアが安価で手に入るが、手軽さにはリスクも伴う。マニキュアは薬事法上では化粧品に分類され、雑貨として販売することは違法だが、現在、国内に流通している商品には、雑貨扱いで販売されているものも少なくない。

昨年10月、全国で100円ショップを展開するダイソーが販売していたマニキュアから発がん性物質のホルムアルデヒドが検出され、販売中止になった。今年に入り、大手出版社が過去に発売した子ども向け雑誌の付録のマニキュアからホルムアルデヒドが検出され、回収騒ぎになったことも記憶に新しい。ホルムアルデヒドは、国が定める化粧品基準で配合が認められていない。

昨年の事件以降、100円ショップの中には、売り場に「当店のネイル製品は薬事法に準拠しています」などと書かれた張り紙が貼られているところもあり、販売側の意識は変わりつつある。

被害に遭わないためには、消費者側にも正しい知識が求められる。同じ化粧品でも、スキンケア商品に関しては、オーガニックなど自然派にこだわる人も多いが、マニキュアの成分を細かく調べる人は少ない。爪も皮膚であること、ジェルネイルやマニキュアの成分は化学物質であるという意識を持って、安全にネイルを楽しみたい。[監修:山田秀和 近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長]

(Aging Style)