朝の満員電車、もし気分が悪くなったら…

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p>執筆:井上 愛子(保健師)
監修:坂本 忍(医学博士、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ)

電車通勤時に「体調が悪くなったお客様の救護活動を行ったため......」というアナウンスを耳にすることがあるかと思いますが、あなたも万が一の時に備えて、電車内で体調が悪くなった時の対処法を確認しておいた方がいいかもしれません。

ただでさえ人が多い時間帯にダイヤが乱れると、車内やホームが過密状態になり、気分が悪くなってしまう人もいます。
万が一に備え、電車内で体調が悪くなった時の対処法を覚えておきましょう。

満員電車は、まさに「気分が悪くなりやすい」環境


過密状態の電車内、私たちの体調に直接的に影響を与えるのは気温と湿度です。
蒸し暑さを表すには不快指数という指標があり、湿度75%、気温26度の時で、不快指数は75程度。75では半数以上の人が不快感を抱き、80を超えるとほとんどの人がその環境を不快に感じると言われています。

満員電車では過密のため空調が十分に効かず、車内の空気が高温・多湿になりがちです。
特に雨の日は湿度が80〜90%にもなるため、満員電車内の不快指数は優に80を超え、誰もが不快感を抱いている状態にあると言えます。

これは気分の問題だけでなく、身体的な面でも危険です。熱中症になりやすい条件として「高温多湿」「無風」「過密」があります。
満員電車はこの条件をすべて満たしており、極めて熱中症なりやすい環境と言えるのです。

健康状態も気分不良の原因に


電車内で気分が悪くなるかどうかには、普段の体調も関係します。
貧血など、もともと体調不良気味の人、健康状態に不安のある人はリスクが高まります。また、過労や二日酔い、睡眠不足の場合は、特に熱中症の症状が出やすくなります。

健康面に特に問題はないという人も、まるで四季がなくなったような近年の天気では、日々の体調管理がとても難しくなっています。
まさに誰もが体調を崩しやすい状況にあると言えます。また、妊娠中女性はつわりの時期など、特に気分不良を起こしやすい状態であることを意識しておくことが必要です。

さらに、閉鎖的な環境で起こりやすい「パニック障害」という精神疾患もあります。
パニック障害の発作は突然、動悸や発汗、息苦しさ、胸の不快感といった身体の症状が出るのと同時に、強い不安感に襲われるもの。人が密集する状況で発作を起こす人も多いため、満員電車はリスクが高い環境なのです。

よくある体調不良の症状と対策


では、実際に満員電車で起こりやすい体調不良として、どのような症状があるのでしょうか? 熱中症に近い状態だった場合、めまいや意識がボーッとする感じ、ふらつきなどの症状が見られます。

これらの症状が悪化すると、吐き気やけいれん、失神が起こることもあります。
また、パニック発作やそれに近い症状として、息苦しさや過呼吸、不安、動悸などが生じる場合もあります。

電車に乗っている際にこのような症状が起こった場合、可能なら席を譲ってもらったり、もたれかかることができる壁側などに移動したりして、少しでも身体への負担を軽くすることが最善です。

とはいえ、満員の状態では難しいこともあるでしょう。その場合は無理をせず、次の停車駅でいったん降り、それでも症状が治まらなければ、駅の係員や周りの人に助けを求めることが大切です。

電車内やホームにある非常停止ボタンは事故を防ぐためのものなので、気を失った人がいるなど緊急性の高い場合を除いてみだりには使用せず、少し気分の悪い段階で早め早めに対処していくことが必要と言えるでしょう。

 少し早目の対処を!


そもそも満員電車を避けるための工夫としては、荒天などで混雑が予想される場合は早め(遅め)に家を出てラッシュの時間帯を避けることや、同じ電車でも階段付近など混み合いやすい位置を避けて乗車することが有効です。

また、水分をしっかり摂っておく、食べ過ぎない、通気性のいい衣類を身につける、満員電車のにおいで気分が悪くなる場合はアメやガム、ミントなどを携帯しておくといった対策も効果的です。

都市部の通勤・通学者で満員電車を完全に避けることは困難ですが、
症状と対策を予め知っておくことで、少しでも快適に乗り切りたいですね。