ケプラー宇宙望遠鏡にトラブル発生。NASAは『非常モード』からの復旧目指し最優先で対応中

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NASA が、太陽系外惑星を多数発見してきたケプラー宇宙望遠鏡に何らかの異常が発生し、現在はエマージェンシーモードにあることを発表しました。ケプラー宇宙望遠鏡は、新たにマイクロレンズ現象による惑星発見ミッションを開始しようとしているところでした。NASA はエマージェンシーモードでは最も低レベルな通信状態となり、電力消費も高くなるとしています。このため復旧にあたっているチームはこの通信レベルを正常な状態に戻す作業に最優先で取り組んでいるとのこと。

ただ、ケプラー宇宙望遠鏡は地球を周回しているのではなく、地球からおよそ1億2000万km離れた位置で地球の公転をトレースする軌道にあります。このため地上との通信は、往復で13分ものラグタイムを待ちつつ行わなければなりません。

NASAの発表では通信異常は4月7日に判明したとされるものの、これまでにその原因については明らかになっていません。



2009年に運用を開始したケプラー宇宙望遠鏡は、2013年に4つある姿勢制御用のリアクションホイールのうち2つが故障したのを機に、当初予定の観測期間を終えることが発表されていました。しかし、まだ残る2つのリアクション・ホイールと、太陽光圧を姿勢制御に利用することで運用が可能となり、2014年からは科学観測を目的とした「K2」ミッションを開始。主にはくちょう座の方向限定ながら、恒星の前を横切る惑星の影を見つけるトランジット法で通算5000個を超える太陽系外惑星候補を発見し、そのうち1000以上が太陽系外惑星と承認されています。
  
ケプラー宇宙望遠鏡はこの4月から重力マイクロレンズ現象の観測による太陽系外惑星の発見を試みる計画で、そのために機体姿勢を天の川銀河の中心方向へと向けようとしていました。なお、重力マイクロレンズとは恒星の前を惑星が通過した時に惑星の重力によって光が歪められ、一時的に恒星の明るさが強くなるように見える現象のこと。
  
現在、JAXA のX線天文衛星「ひとみ」こと ASTRO-H も明らかな異常に遭遇しています。通信途絶状態でなおかつ機体破損の可能性も高いと予想される「ひとみ」に比べれば、ケプラー宇宙望遠鏡は通信ができているだけましな状況かもしれません。当初予定の運用期間を終え、さらに2年の延長運用を経たケプラー宇宙望遠鏡が満身創痍の状態であることは間違いないものの、一刻も早い復旧を祈りたいところです。

訂正:初出時、地球とケプラー宇宙望遠鏡の距離を7500kmと記していましたが、正しくは1億2000万kmでした。お詫びして訂正いたします。