第1期電王戦第1局の1日目終了。厳しい攻めに山崎隆之叡王の持ち時間が3時間切り、明日しのぎきれるのか?

写真拡大

岩手県平泉にある中尊寺で行なわれている第1期電王戦第1局は、朝10時に対局を開始し、18時過ぎに山崎叡王が封じ手をして1日目を終了しました。残りの持ち時間は、先手のPONANZAが6時間10分、後手の山崎叡王が2時間52分とかなりの差が付いており、対コンピューターとしてはかなり不利な状況です。2日目は明日10日10時に再開されます。



棋譜はこちら。

今回対局が行なわれている関山 中尊寺は、岩手県平泉にある小高い山の上にあります。入り口から今回対局が行なわれている本堂裏手までは、かなりの上り坂を登ったところにあり、有名な金色堂はさらに奥、報道陣が待機する場所は、そのまたさらに奥のかんざん亭という食事処の建物になります。対局場と控室がかなり離れているので、終局時はどうなるのか少し不安です。

▲中尊寺本堂。こちらの裏側にある建物に対局会場を作っている。

▲中尊寺といえば金色堂。本堂よりさらに奥にある。中は撮影不可。

そんな場所で行なわれている今回の電王戦。10時に対局が開始され、先手のPONANZAは初手をなかなか指さず、14分考えて▲2六歩と飛車先を持ち上げました。これはコンピューターソフトにはよくあることで、設定した時間をめいいっぱい使って一手を考えた結果ということのようだ。

▲新電王手さんは、掴むときの静寂さと、駒が成るときの動作速度が改善されている。

これに対して、山崎叡王は1分ほど考えて△3二金としています。最初のうちは、PONANZAのほうが考えがちだったのですが、次第に山崎叡王が1手ごとに時間を消費していき、23手目▲7七桂で昼食休憩に突入。休憩明け後に残り時間が逆転し、山崎叡王が1手1手熟考しながら、失敗しないように指している感じです。

1手間違えると、すぐにPONANZAに漬け込まれるため、慎重になってしまいがち。コンピューターは、心理作戦は通じないし、いくら考えても疲れないので、持ち時間を削られるのは人間にとって辛い。これまで、勝利を収めてきたプロ棋士たちは、後半に持ち時間を残すため、前半は早め早めに指す傾向にありました。このため、今回の展開はかなり不利と言えるでしょう。

▲昼食休憩後の様子。山崎叡王はかなり長考していた。

休憩明けの展開は、5筋の攻防となり、30手目の△5五歩から▲同飛△同飛▲同角と進み、山崎叡王が長考したあと、△2五飛▲3三角成△同金と駒の取り合いに。この後の37手目に▲8二歩成が妙手で、△同銀から▲6五桂の手がかなり厳しく、封じ手までの時間が迫っていたため、ここで封じました。1日目は39手とかなりのスローペースです。

コンピューター将棋ソフトが初めて体験する封じ手。普通は、1日目終了時間を過ぎたときに手番の棋士が封じ手の意思を示すことで行なわれるが、コンピューターにはそれができないため、18時を過ぎた時点で山崎叡王の手番のときに封じるという特殊ルールで行なわれている。コンピューターは、電源を切るのではなく休止のような状態にするようです。

▲電王戦では初めての封じ手。控室で記入し、2つの封筒にサインをして保管される。

今回、検討室では4つのコンピューターソフト(nozomi、大樹の枝、超やねうら王、技巧)の開発者が集まり、それぞれのソフトで評価しています。39手目の評価値はPONANZAの+400から600と、ちょっと差がついてしまっています。今後のコンピューターの読みも、山崎叡王には厳しい展開となっており、2日目はもしかしたら早く終局してしまうかもしれません。ちなみに、封じ手の予想は4つのソフトすべて3一角打となっています。残り時間は3時間切りとかなり少ないですが、2日目も集中力を保って指しきってほしいところです。

▲対局室にほど近い位置にある検討室。和室だったとは思えない装飾のなかで、ソフト開発者の人たちが各々のソフトで評価していた。写真は今日の最終局面。