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米国の宇宙開発企業スペースXは4月8日(現地時間)、国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を補給する「ドラゴン」補給船運用8号機(CRS-8)を載せた「ファルコン9」ロケットの打ち上げに成功した。またファルコン9の第1段機体は、大西洋上に浮かべられた無人船「もちろんいまもきみを愛している」号への着地にも成功。同社が進めるロケットの再使用の実現に向けた大きな一歩となった。

ロケットは日本時間4月9日5時43分、米国フロリダ州にあるケイプ・カナヴェラル空軍ステーションの第40発射台を離昇した。ロケットは順調に飛行し、約2分34秒後に第1段と第2段が分離された。

第1段機体はその後、水平速度を落とすための「ブーストバック噴射」、大気圏再突入時の速度を抑えるための「再突入噴射」を経て、飛行経路の下にある大西洋上に浮かべられた無人船「もちろんいまもきみを愛している」号の真上まで降下し、エンジンを噴射しつつ船の上に降り立った。

一方の第2段も順調に飛行を続け、離昇から約10分30秒後にドラゴンCRS-8を分離した。ドラゴンはその後、太陽電池パドルの展開や地上との通信確立にも成功。このあと単独で飛行を続け、日本時間4月10日の夜に、ISSへ到着する予定となっている。

○ドラゴンCRS-8

ドラゴンCRS-8には、ISSへ向けた水や食料、実験装置など、約3200kgの補給物資が搭載されている。

中でも大きな注目を集めているのは、米国のビゲロウ・エアロスペースが開発した「BEAM」と呼ばれるISSの新しいモジュールである。BEAMは風船のように膨らませることで、従来よりも格段に広い居住空間をつくることができるという特長をもち、実際にISSに接続して運用することで、宇宙での耐久性を試験する。同社では将来的に、十数人が滞在できる宇宙ホテルの打ち上げを目指している。

現在のところ、BEAMのISSへの取り付けは今月15日ごろ、空気を入れて膨らませるのは5月25日ごろに予定されている。

前回のドラゴン補給船の打ち上げは、ロケットのトラブルで失敗に終わっており、ドラゴンにとっては今回が飛行再開1号機となった。前回の打ち上げではロケットのみに問題があり、ドラゴンに異常はなかったものの、ロケットと共に墜落し破壊されている。そこで今回から、ロケットの異常発生時にも、地球への帰還時と同じくパラシュートを開いて着水し、搭載している物資を回収できるようにする改良が加えられた。

○初の船上への着地に成功

スペースXはロケットの低コスト化を目指し、一度打ち上げたロケットを回収し、再び使用するための開発や試験を数年前から続けており、昨年末にはロケットを発射場に程近い陸上に着陸させることに成功している。

陸への着陸と並行し、同社は飛行経路の下にある、洋上の船に降ろして回収するための試験も行っている。ロケットをUターンさせて陸上に戻すためには多くの余裕が必要となるが、洋上であればUターンする必要がない。船への回収技術が確立できれば、衛星の質量や打ち上げる軌道の都合で余裕が少ない場合でも機体を回収できる頻度が上がることなる。

船での回収は昨年1月と4月、6月、そして今年1月と2月にも試みられたが、甲板に激突、あるいは着地後に転倒するなどして機体が大きく破壊され、完全な成功には至っていなかった。

同社のイーロン・マスクCEOは打ち上げ後の会見で、「第1段機体を載せた船は日曜日(現地時間)に港に戻ってくる。その後、10回のエンジン再着火試験を行うことを予定している。その結果、可能であれば今年の夏ごろ、早ければ6月にも、今回回収した機体を再び打ち上げに使うことができればと考えている」と述べた。

今月末にはまた、日本のスカパーJSATの通信衛星「JCSAT-14」を搭載したファルコン9の打ち上げが予定されている。回収試験の実施の有無など、詳細はまだ明らかになっていない。

【参考】
・CRS-8 DRAGON MISSION | SpaceX
 

・Dragon Launches and Will Reach Station Sunday | Space Station
 
・Dragon is Healthy, Beginning Pursuit of ISS | Kennedy Space Center
 
・Successful First-Stage Landing | SpaceX
 

(鳥嶋真也)