乳幼児の育児のつらさの中でも、“夜泣き地獄”は味わった人にしかわからない大変さだろう。一晩中、何度も何度も泣き声で起こされる。細切れの睡眠で体の疲れが取れないまま、また一日が始まる――。夜中に何度も起こされる親のストレスは相当なものだ。

「いつか終わるから」というなぐさめの声はもちろん耳に入るが、つらい夜が続くとまるで永遠に終わらない気すらしてくる。本当に子の夜泣きが終わる日は来るのだろうか? 夜泣きのメカニズムに詳しい小児専門医・小山博史医師に話を聞いた。

●ストレスをためないことが夜泣き防止に

「子どもの約95%は、遅くとも4歳くらいまでには夜泣きがおさまります。これは前頭葉の機能が十分に発達してくることで、不安や興奮を抑制する力ができてくるためです」(小山医師 以下同)

だが「遅くとも4歳まで」という言葉を聞いて、「まだそんなに先のことなの!?」と落ち込んでしまうママも多いだろう。今まさに夜泣きに悩まされているママのために、少しでも早く終わらせるための策はないのだろうか?

「昼にたっぷり遊ばせ、夜は決まった時間に寝かせて生活リズムを整える。寝る前のテレビ、スマホ、ゲームなど光や音の強い刺激を避ける。深夜に帰宅したパパと遊ばせない。まずはこれらの基本を一通り試してみてください」

夜泣きを早く終わらせるためのベースとなるのは、やはり日頃の対応だ。2歳以降になってもひどい夜泣きが続く場合は、まず生活習慣を見直すところから始めよう。

一方で、大脳がめざましい発達過程にある0〜1歳の子の場合は、日中にストレスをためないことが夜泣き防止にもなる。

「親や保育者が日頃から子どもとしっかり視線を合わせてコミュニケーションを取り、抱きしめたり頬ずりしたりしてスキンシップをはかっていると子どもの情緒はしっかり育ちます。その結果、夜中に目が覚めて不安で泣く回数も減ってくると考えられています」

●「30分放っておく」のも理にかなった対応

また、夜泣きしても「かまいすぎない」ことも大事だそう。

「すべての夜泣きに対して、抱っこや背中トントンなどで律儀にあやし続ける必要はありません。むしろかまいすぎると、不適切な時間に泣いて起きていることを肯定してしまう。ときにはしばらく放っておくのも手です」

乳児期は睡眠サイクルが短いため、赤ちゃんは夜間でも頻繁に目が覚めてしまう。そんなときに親が授乳や抱っこで介入しすぎると、赤ちゃんは自力で再び寝入ることができなくなり、夜泣きが固定化してしまうのだという。

そうさせないためにも、「しばらく放っておく」という対応策は理にかなっているのだ。

「放っておく際のポイントは、終わりの時間を決めておくことです。『どんなに泣いても30分間までは泣かせておく』と決めたら、途中で手を出すことなく、時間内は泣かせておきましょう」

●つらいときは漢方薬を処方してもらおう

また、あまりに夜泣きが頻繁になると、睡眠不足からうつ病になってしまうママも少なくない。最近ではひどい夜泣きに悩む母子に、興奮状態を鎮める漢方薬を処方してくれる小児科も増えてきている。その場合は、母と子、それぞれが内服することがおすすめだそう。

わが子を健やかに育てていくためには、ママ自身が自分の体と心を大切にすることも必要だ。育児のゴールはまだまだ先。無理に我慢をためこまず、頼れるものはどんどん頼って楽しく子育てをしていこう。

(阿部花恵+ノオト)