国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が公表した「パナマ文書」で、世界的な金融グループのHSBCが約2300社のペーパー会社設立に関係していたことが判明した。

 パナマ文書は、同国の法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した1000万件以上にのぼる機密情報。英国のキャメロン首相、ロシアのプーチン首相、中国の習近平国家主席の親族や知人などが、租税回避地を活用してきたことを明らかにした。オフショア会社で資金を保有すること自体は違法ではないが、資産隠しや税金逃れの手法として利用される場合があるため、世界で高い関心を集めている。

■ 配当利回り8.4%

 同文書の公表を受け、HSBCの株価は5日に3.7%下落した。年初来ではすでに22.5%売られ、配当利回りは8.4%(15年実績ベース)まで上昇している。長期的な配当収入を狙う投資家にとっては、買いを検討したくなる利回り水準だろう。

 ただし、配当利回りの上昇には必ずそうなるだけの理由がある。HSBCの場合は新興国市場の景気減速による収益悪化が株価低迷の背景で、15年10-12月期は13億2500万ドル(約1460億円)の最終赤字を計上するなど低迷している。

 こうした状況でも、現在の配当水準が当面維持されるとの見方が根強い。日本の大手証券のレポートでは、「HSBCはリスク加重資産の削減を進めることで自己資本増強の必要性を引き下げ、緩やかな増配ペースを維持する」といった予想も示された。

■ お宝ポジション獲得のチャンス? 

 欧米の大手銀行グループの配当利回りは、高くても英バークレイズの4.8%程度。日本も含めれば、みずほフィナンシャルグループ<8411>の4.9%や、三井住友フィナンシャルグループ<8316>の4.8%が目をひくが、日銀がマイナス金利政策を拡大する可能性もあることから、株価の下方リスクは大きい。

 HSBCの株価がどこで下げ止まるかは誰にもわからないが、パナマ文書によるスキャンダルと現在のHSBCの株価水準は、長期的な「お宝ポジション」を実現させる可能性を秘めている。(情報提供:モーニングスター社、編集担当:大平祥雲)(イメージ写真提供:123RF)