【プレビュー】G大阪ユース宮本恒靖監督の「調理法」に注目/高円宮杯プレミアリーグWEST
 高円宮杯プレミアリーグWESTも今年で5年目を迎えた。発足当初は上位グループと下位グループの実力差が大きい年も少なくなかったが、近年はその差も縮まってきている。昨季、上位常連だった名古屋グランパスU18が降格ギリギリにまで追い詰められた末に、奇跡的な残留を決めたのは象徴的な出来事だった。

 そんなリーグに今季から熊本県立大津高校と神戸弘陵学園高校の2チームが加わることとなった。大津は2013年にもこのリーグに参加して降格となった経験を持つが、実は東西通じて「返り咲き」を果たした初めてのチームとなる。「公立校には難しいと言われるリーグ」と平岡和徳総監督が言うように、毎年コンスタントに戦力を保つことや費用負担などのオフ・ザ・ピッチの部分も簡単ではない。ただ、だからこそ公立校が挑む価値もあると信じての挑戦だ。

 戦力を維持するという意味では、プレミアリーグでしばしば起きる現象が、「ピークの戦力をそろえた学年で昇格し、戦力の落ちたその翌年のリーグで苦戦する」というパターン。かつて大津がDF植田直通(現鹿島アントラーズ)、MF豊川雄太(現ファジアーノ岡山)を擁した年に昇格し、その翌年に唇を噛む結果となった。今回も二人がプロ入りした学年が卒業していった次シーズンである。平岡監督は「難しい問題ですよね」としながらも、GK前田勇矢、MF杉山直宏といった昨年からの選手に加えて、「いいメンバーが来てくれた」(平岡監督)という新1年生も活用しながら戦い抜く考えだ。一方、神戸弘陵も昨季のメンバーの多くが卒業。MF谷後滉人など好選手もいるが、戦力的には苦しい面もある。それだけに谷純一監督は「試合ごとに選手を上手く、強くしていきたい」と意気込む。

 一方、西日本の高校サッカー勢で唯一初年度から残留を続けているチームもある。今年1月の高校サッカー選手権を制した東福岡高校である。「本当に毎年大変ですよ」と言う森重潤也監督は同時に、「少しずつ(プレミアリーグでの戦い方が)分かってきた部分はある」と蓄積された経験値が財産になっていることも明かす。Jクラブユースに対抗することも考えて力を入れたフィジカル面の強化は、選手権での優勝という形に結実した。新たに10番を背負うMF藤川虎太朗、アンカーの鍬先祐弥、高性能サイドバック(SB)小田逸稀、新主将のDF児玉慎太郎など核になる選手も昨季リーグ2位のチームから残っているのは大きい。「今年こそは(優勝を)狙いたい」と児玉主将も力を込める。

 ただし、EASTと違って一度も覇権を譲っていないWESTのJクラブユース勢も黙ってはいない。沢田謙太郎監督を迎えて2年目となるサンフレッチェ広島F.Cユースはその方針も浸透。「昨年より、もう少しやれると思う」と指揮官の表現は控えめだが、地力のあるチームなのは間違いない。昨季タフな残留争いに巻き込まれた経験も、選手を鍛えるという意味ではポジティブだった。最注目は飛び級でU−19日本代表候補に呼ばれているGK大迫敬介だが、「去年一番成長した」と沢田監督が太鼓判を押す新主将のDFイヨハ理ヘンリー、強気のプレーが光るMF仙波大志、多彩な技術を持つFW満田誠、攻撃の中心となるFW山根永遠などタレントは豊富。スタートダッシュが決まれば、頂点も見える陣容だ。

 タレントという意味では、セレッソ大阪U−18も外せない。メンバーリストにはU−19日本代表に選ばれ続けている左利きの左SB舩木翔や、競り合えてパスもさばけるセンターバック森下怜哉、豊富な運動量でかき回しながらゴールに迫るMF斧澤隼輝、U−16日本代表のパワフルFW山田寛人といった選手が居並ぶ。ただ、今季からC大阪U−23がJ3リーグに参戦している影響で、彼らがU−18チームで出場するかは定まっていない。U−16日本代表の新1年生MF喜田陽、DF瀬古歩夢といった選手たちも含めて総力戦の運用で選手を鍛えてリーグを戦い抜くこととなりそうだ。