親が知っておきたい!我が子が不登校になった時の対処法

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執筆:近藤 俊明(心理学博士)


家で保護者と一緒にいたがる甘えの強い子や、学校以外の場所で友達と遊びたいなどのセルフコントロールのできにくい子への対応について考えてみたいと思います。

不登校が持つ意味


米国の心理学者、クリストファー・カーニーは、不登校になっていることの意味(機能)は、大きく次の4つの状況に分類できるとしています。
前回は、下記の(1)(2)について述べました。今回は、(3)(4)についてです。

(1) 学校に関する嫌な気持ちを避ける

(2) 学校での友達や他の人との嫌な関わりを避ける

(3) 親や周りの人から注意を向けてもらえる

(4) 学校ではできない面白いことができる

保護者側の視点から問題を捉える


保護者と一緒にいたい、注意を自分に向けていてほしいという(3)のケースは、子どもの側の甘えが強いことがわかります。一方、保護者の側に焦点を当てると、子どもとの距離の取り方が何らかの理由で近くなりすぎている状態であると考えられます。

具体的には、保護者が子どもの健康に強い不安を持っている場合、あるいは子どもが自分でできることに関する認識が十分で、できることをさせることが発達・成長に望ましいと考えていない場合が多く見受けられます。

このような場合、カウンセラーは、保護者(特に母親)とのカウンセリングを行います。そして、子どもの学習や家庭生活の中で、子どもが自分でできること、することが望ましいことについて話し合います。子どもが年齢相応の自立心を養うことが大切であること、そして、そのためには保護者自身が変わることが大事であることを認識してもらうのです。

毅然とした態度で決まり事を遂行する


まずは、子どもが成長し、いろいろなことが自分でできるようになっていることを確認し、親子で共有します。そして、これまでお母さんがしていたことの中で、易しいことから徐々に子ども自身にさせていくようにします。

できたことはきちんと褒め、何か子どもが欲しがるもの(行動理論では「強化子」と呼びます)を与える約束をします。与えるのは、子どもの年齢に適切なものや、何かをする特権(一定時間テレビを見るなど)であっても構いません。もちろん、できていないときにはそれらを与えないことにします。

保護者は、これらの決め事を毅然と実行する必要があります。子どもは賢いところがあり、泣いたり怒ったり、果ては(病気などではなく)お腹が痛くなったと言って親の決心を崩そうとしてくるので、これに打ち勝つ強さが必要です。そして、タイミングを見つけ、できることの中に「学校へ行くこと」を加えていくのです。

これらの過程がスムーズに進むことはなく、その家庭、親子に特有のさまざまな問題が出てくるのは言うまでもありません。それらも、カウンセリングを通じて、適切な時間をかけながら解決していきます。

家族のルールを文書化する


(4)のケースでは、勝手気ままな生活や非行傾向なども含まれます。この場合、父親も含めた、家族でのカウンセリングを行うのが理想です。カウンセラーは、問題の所在を明らかにし、子どもを含めた家族全員とそれらを共有します。

ここで問題となるのは、子ども自身に倫理観やセルフコントロールの習慣が育っていないことです。そして多くの場合、その背景には家族自身の教育力の弱さや事情があります。それらは、当然ながら保護者自身の課題になります。

子どもに対しては、してよいこと・いけないことを明確にし、文書として見えるかたちにするのがいいでしょう。これは「行動契約」と呼び、前述のカーニーも推薦しています。望ましいことができれば強化子(ご褒美)を与え、できなければ適切な罰を与えることもこの契約の中に記しておき、厳格に実行します。

以上、カウンセリングを用いた不登校への介入のエッセンスのみお話ししました。繰り返しますが、子どもやその家族には、それぞれ特有の事情があります。焦らずに適切な時間をかけて、これらを解決しながら、不登校の解消をしてゆくことが現実的と言えるでしょう。また、カウンセリグのほかにも、(4)に関しては、非行仲間との関係が切れにくい時など、警察の生活安全課などに相談することも有効です。


<執筆>
●近藤 俊明(こんどう・としあき)
心理学博士、東京未来大学副学長。サイコロジスト(ニューヨーク州ライセンス)、米国で特殊教育学校、病院の外来などに務め、現在はスクールカウンセラーも務める。研究領域は子どもや母親のカウンセリング、異文化間の子どもの協働と認知の発達、学校と地域の連携など