ネコにはニャンにも罪はないのだが

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すぐカッとなってキレる人がいる。実は「間欠性爆発性障害」というれっきとした病気の場合があるが、そんな人はネコのウンチが原因で発症する可能性が高いことがわかった。

米シカゴ大学のエミール・コッカーロ教授らの研究チームが、米の精神医学誌「Journal of Clinical Psychiatry」(電子版)の2016年3月23日号に発表した。ネコに寄生する虫が悪さをするらしい。

ネズミに自分からネコの口に飛び込みさせる

ささいなことに突然怒り出し、人や物に激しく当たり散らす。怒りの最中、興奮して体が震え、動悸が激しくなり、汗をかく。10〜20分後には何事もなかったように収まる――。こんな症状を起こす人は、精神疾患の1つ「間欠性(かんけつせい)爆発性障害」の心配がある。「間欠性」とは一定の期間をおいて繰り返し起こることをいう。

大会社の幹部や大学教授、弁護士など知的な職業に就いている人にも普通にみられ、車のハンドルを握ると人格が変わる人があてはまる、といわれる。男性に多いため男性ホルモンが影響しているのではないかと考えられているが、原因はよくわかっていない。

研究チームは、哺乳類や鳥に寄生するトキソトラズマ原虫が関係していると仮説を立てて関連を調べた。トキソトラズマ原虫は、特にネコの糞や加熱処理されていない肉の中に卵が含まれ、トキソトラズマ症を引き起こす。国立感染症研究所のウェブサイトによると、全人類の約3分の1は感染するが、健康な人はほとんど何の症状も起こさない。ただ、妊婦に感染すると流産や死産のおそれがあるため、「妊婦はネコに触らない方がいい」といわれている。

トキソトラズマ原虫は、主にネコを最終宿主としており、ネコの体内で繁殖して卵を糞から外に出す。幼虫の段階では中間宿主のネズミの体内に入ると、ネズミの脳神経をおかしくする物質を出す。神経が変になったネズミはネコのニオイを嗅ぐと発情しネコに近づくような奇妙な行動をとる。ネズミに自分からネコの口に飛び込むように仕向けて、ネコの体内に侵入するのだ。

悪い虫を防ぐには野菜をよく洗い、肉を十分に加熱しよう

宿主の脳神経に影響を与えるトキソトラズマ原虫の恐ろしい能力が、間欠性爆発性障害に関係があるのではないかと研究チームは注目したのだ。そこで、成人男女358人を対象に、(1)間欠性爆発性障害の人(2)それ以外の精神疾患を持つ人(3)精神疾患のない健康な人、の3つのグループに分けた。そして、トキソトラズマ症に感染した割合を比較した。すると、間欠性爆発性障害の人の感染率は、健康な人の2.4倍だった。ほかの精神疾患の人も健康な人の1.8倍だった。また、3つのグループの人の「攻撃性」と「衝動性」をテストで調べると、間欠性爆発性障害の人は非常に高かった。

コッカーロ教授は「攻撃性で問題を抱える人は、単なる性格ではなく、何らかの背景がある可能性があります。今回は因果関係を調べるのが目的ではありませんでした。また、トキソトラズマ症になった人が全員攻撃的になるわけではありません」と語っている。

専門家は、トキソトラズマ症を防ぐには調理時に野菜をよく洗い、肉を十分に加熱し、ネコの糞にふれないよう注意することをあげている。