「酒はセックスにとって、まさに諸刃の刃なんです」
 こう語るのは、性感研究の第一人者で医学博士の志賀貢氏だ。
 新年度に入れば飲み会も増えるだけに、いま一度、“酒とED”の関係を知っておきたいところだ。

 まず、酒によってEDが解消されることもある。
 「よく誤解されるのですが、勃起とは副交感神経が優位(つまりリラックス時)なときに起こりやすいのです」
 闘争本能むき出しの交感神経が優位な時に勃起すると思いがちだが、実は逆なのだ。

 確かに思い起こせば、初めてセックスをする相手の時は、気持ちこそ興奮するが“うまくできるかな? 嫌われたらどうしよう”といった不安にも駆られる。対して、ある程度慣れ親しんだ相手とのセックスなら失敗しても大丈夫、たっぷりと楽しもう、といった精神状態になりやすい。
 「すると、脳と体がうまく連動して海綿体に流れ込む血流の量も増え、勃起力が高まるのです」

 これは酒にも通じる。普段は周囲の目を気にするタイプでも、酒が入れば気持ちも大らかになり、恥ずかしさも薄れるものだ。
 「まさにリラックスした状態。ペニスも元気になりやすいと言えるのです」
 つまり、ホンワカ楽しい気分に浸れるほろ酔い状態は、ED解消にも繋がるのだ。

 だが、飲み過ぎると全く逆効果となる。
 「アルコールを多量に摂取すると、中枢神経が抑制されてくるんです。こうなると、勃起を司る脳の働きも鈍ってくるため、女性の裸を前にしても性的な興奮がペニスに連動しにくくなるのです」

 基本的には血行がよくなれば勃起力もアップするのだが、脳の働きが鈍くなっては元も子もないのだ。
 ゆえに、酒はセックスにとって諸刃の刃なのだ。

 さらに、お酒好きの方は要注意だ。
 「日常的に飲んでいる人は、糖尿病をはじめとした生活習慣病にもかかりやすい。これもEDの要因になります」
 時々、軽く飲む程度なら構わないが、毎晩、飲んでいるとEDはもちろん、体そのものを弱めてしまう。

 また、酒の飲み過ぎによって、肥満、高脂血症、高血圧なども招きやすい。
 「ある意味、これが一番怖い。なぜなら、これらの病気は血管内で動脈硬化を悪化させるからです」
 先にも述べた通り、勃起は海綿体に血液が勢いよく、大量に流れ込んだ時に起こる現象だ。
 血管の動脈硬化が進んでしまうと、当然、勃起もしにくくなるのだ。

 「もう一つ気をつけて欲しいのは、トレーニング後のお酒。最近はジムなどに通う中高年男性も増えていますが、トレーニングで汗を流した後、帰りについ一杯飲みたくなるもの。でも、やめたほうがいい」
 理由は簡単。トレーニング後は全身の血行がよくなり過ぎているため、酒の回りも異様に早い。記憶をなくすほど酔い潰れてしまう可能性が高いという。
 「そもそもアルコールを飲むとテストステロン(男性ホルモン)の分泌が低下します。そうなると筋肉の成長も妨げられてしまうので、せっかくのトレーニングが台なしになるんです」

 やはり、酒はほどほどにすべき…。

志賀貢
医学博士。内科医として診療する傍ら、260作以上の小説やエッセイを執筆。また、性感研究の第一人者で『かなりHな夜の教科書』(河出書房新社)など、医学的見地に基づいたセックス&口説き術にまつわる著書も多数ある。