花粉・食物アレルギー症候群(PFS)にご注意を(shutterstock.com)

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 今や日本人の約3割が苦しむ国民病となってしまった花粉症。春先のスギやカバノキをはじめ、夏に多いイネ科や、秋のブタクサなど、そのアレルゲンは多岐にわたる。花粉がたくさん飛ぶ季節になると、マスクや目薬を手放せなくなり、毎日を憂鬱に過ごしている人も多いだろう。

 もっとも辛いのが1年のうちの限られた季節であれば、その少し前から、あらかじめ薬を服用するなどの対策を取ることはできる。あるいは、最近話題の乳酸菌による体質改善で、症状を和らげられるかもしれない。

 しかし、これら季節限定の花粉症が引き金となり、季節を問わない食物アレルギーを引き起こす可能性があることはまだあまり知られていない。ほとんどの場合は軽い症状ですむことが多いが、最近になって一部の食品で重症化するケースが報告され、専門医が注意を呼びかけているという。

カバノキ科の花粉と豆乳の組み合わせは症状が重くなりやすい

 これは、花粉と食物が交差反応してアレルギー症状が出る花粉・食物アレルギー症候群(PFS)と呼ばれるもの。交差反応とは、特定の野菜や果物のタンパク質の構造が花粉のタンパク質とよく似ていることから、体に入ってきたときに花粉と認識して免疫反応が起きてしまうことだ。

 よくあるのは、花粉症の人が特定の野菜や果物を食べると口の中がピリピリとしびれるケースだ。それだけで済めば軽いが、最近は喉の奥が腫れたり、吐き気や腹部の不快感などの症状がひどくなったりして、受診する患者が増えているという。

 怖いのは、本人が花粉症と食物アレルギーを別のものと考え、リスクを意識しないうちに突然重い症状が表れるケースだ。花粉症と食物の組み合わせによっては、呼吸困難などの重篤なアナフィラキシーショックを起こすこともある。

 たとえば、もともとリンゴやモモ、イチゴ、ニンジンなどを食べると口の中に違和感を訴えていた12歳の花粉症の女児が、豆乳を飲んだ直後に呼吸困難を起こした例がある。検査の結果、ハンノキやシラカンバの花粉、豆乳などにアレルギー反応が出たという。

 また、同じくハンノキの花粉症があり、それまでもびわやリンゴなどの果物に反応していた60代の女性が、中華料理店で焼きそばを食べたときに顔が腫れ上がった。こちらは、大豆を発芽させた豆モヤシがアレルゲンと判明した。

 大豆には、ハンノキ花粉のアレルゲンと似た「グリエム4」と呼ばれるタンパク質が含まれている。果物などのアレルゲンは熱や消化で分解しやすく、生で食べても口の中の違和感で治まることが多い。それに対してグリエム4は熱や加工に比較的強く、納豆やみそなどの発酵食品ではほぼ問題ないが、豆乳や軽く炒めただけのモヤシなどで症状を起こすことがある。

 特にハンノキやシラカンバといった「カバノキ科」の花粉と豆乳の組み合わせは症状が重くなりやすい。このことは一部の専門家以外には知られていなかったが、事例報告が多くなった平成25年に国民生活センターが注意喚起してから、注目されるようになったという。
花粉・食物アレルギー症候群を発症しやすい組み合わせは?

 ちなみに、花粉・食物アレルギー症候群を発症しやすい花粉と食品の主な組み合わせ例としては次のようなものがある。

◎シラカンバ、ハンノキ:リンゴ、サクランボ、モモ、アーモンド、セロリ、ニンジン、ジャガイモ、大豆
◎スギ:トマト
◎イネ科:メロン、スイカ、トマト、ジャガイモ
◎ブタクサ:メロン、スイカ、バナナ
◎ヨモギ:セロリ、ニンジン、マンゴー
(各花粉症の人が必ず食物アレルギーというわけではないので注意)

 花粉・食物アレルギー症候群の患者は、国内の花粉症患者約4000万人のうち、1〜2割とみられる。症状が軽い人や、アレルゲンとなる野菜や果物が限られている人は、食べないようにすることで自衛も可能だが、数が多い場合は重症化する前にアレルゲンとなっている花粉や食べ物を特定することが大切だ。

 何らかの花粉症を持っている人で、野菜や果物を食べたり、豆乳を飲んだりした時に口に違和感があるなど気になる症状があるなら、一度アレルギー専門医の診察を受けることをお薦めしたい。
(文=編集部)