大規模な自社株買いを発表したソフトバンクグループの株価が急騰しています。では、なぜ自社株買いを行なったのでしょうか。これまでの同社のM&A(企業の合併・買収)を振り返ってみると、その訳が浮かび上がってきます。ソフトバンクの快進撃はまだまだ続きそうです。

今月の知りたがりテーマ:ソフトバンクの自社株買いのワケ

昨年の自社株買いや配当を含めた株主還元の金額は、過去最高と報道されています。そんな中、日本の資本市場に強い影響力を持つソフトバンクグループが大規模な自社株買いを発表しました。
自社株買いの概要を見ると、発行済み株式数の14 ・2%にあたる1億6700万株を上限とし、買い付け上限額は5000億円。この金額を株数で割ると、1株当たりの金額は3000円弱です。なお、発表当時の同社の株価は4000円強でした。このカイ離は何でしょうか?
私は、この自社株買い発表は、資本市場への牽制ではないかと考えています。つまり、株価が大幅に下げたときは、「躊躇なく自社株買いを行なうぞ! 株価を下げさせないぞ!」という強いメッセージではないかということです。では、なぜソフトバンクは、ここまでして自社の株価を意識するのでしょうか?
それは同社のビジネスモデルに秘密が隠されています。同社の売上高は、2004年度には8000億円規模、2006年度に2兆円を超え、それが2014年度には8兆円を超えています。尋常でない急成長ぶりです。これを可能にしたのは、積極的なM&Aです。通信キャリア大手ボーダフォンの買収、中国のアリババへの出資、米国の大手通信会社スプリントの買収……と、世の中を大きくにぎわせる大型買収を行なってきました。そして、この買収を可能にした手法のひとつが株式交換です。ソフトバンクの株価が高水準だからこそ、それを利用した買収が可能になるのです。
実際、ソフトバンクの配当性向を見ると、スプリントを買収した2012年は急拡大していることがわかります。これは、買収を見越して株価を魅力的に見せる必要があったからではないでしょうか。今回の大規模な自社株買いの裏には、実は次の経営方針を見据えた戦略が隠されているのかもしれません。

崔 真淑
Good News and Companies代表
神戸大学経済学部卒業後、大和証
券SMBC金融証券研究所(現・大和
証券)に株式アナリストとして入社。
入社1年未満で、当時最年少女性
アナリストとしてNHKなど主要メ
ディアで株式解説者に抜擢される。
債券トレーダーを経験後、2012年
に独立。現在は、日経CNBC経済
解説部のコメンテーターとしても活
躍している。