タイヤのワンメイク供給、というのは昨今のモータースポーツではさほど珍しくありません。カテゴリーを問わずマシンのキモとなるタイヤを、ひとつのメーカーが一括供給してイコールコンディションを敷き、その上でチームはマシンセッティングやタイヤコントロール、ドライバーの技量で争う。今ではF1であっても、こうした施策が採られています。

例えば、グッドイヤーがレース用タイヤを発売してレース活動支援を開始して1世紀以上、彼らは強豪サプライヤーとタイヤ戦争を繰り広げて、勝利してきただけではありません。前述したようにオフィシャルサプライヤーとしてタイヤのワンメイク供給もまた積極的におこない、熾烈な闘いの足もとを支えてきたのです。

もちろん、他メイクスとの闘いによる栄冠もあります。F1を挙げれば1965年から1998年までの間に368勝と途方もない記録。世界一苛酷な耐久レースであるル・マン24時間でも複数の勝利を収めています。祖国アメリカでは、インディアナポリス500をはじめ、JRLシリーズ、CARTシリーズと併せ、これまた500勝以上をあげています。

そうした栄光の歴史と同時に、アメリカの国民的モータースポーツであるNASCARシリーズや、NHRAドラッグレース、ショートトラックレース、珍しいところではFIA欧州トラックレース、昨今の日本ではヴィッツレースなど数多くのカテゴリーのオフィシャルサプライヤーを務めてきました。ちなみにNASCARでは、なんと50年以上もの歴史を持つそうです。

NASCARは、約1540kgというレーシングカーとしては重いボディに、最高出力840ps以上もの性能を有するエンジンを積んだストックカーが、オーバルコースを時速300km以上で闘います! 世界で稀にみる超高速レースなだけに、タイヤにとって実に厳しい条件となるわけです。

またドラッグレースであれば、ほんの数秒の間にとてつもないチカラで路面をけり出すマシンを受け止めなければならない。FIA欧州トラックレースなんて、最低重量5550kg!最大13Lのディーゼルターボエンジン!が組み合わされるトラックによるレース。タイヤにかかる負担といえば計り知れないほど大きいもの。

逆にヴィッツレースは逆に軽量コンパクトかつアンダーパワーなマシンでの闘いであるものの、そのぶんタイヤの性能が大きな意味を持つ。出力性能や空力性能では挽回できないだけに、“針の穴をつつく”かのような設計力が必要となるのです。

まるでグッドイヤーは、それがタイヤにとって苛酷なレースカテゴリーであればあるほど、それが己の使命と言わんばかりに、果敢に挑戦してきたように思える。なによりオフィシャルサプライヤーを通して個々のカテゴリーだけではなく、モータースポーツ文化そのものを支えてきた。いつの時代も、肉厚なレーシングタイヤのサイドウォールに入る「GOODYEAR」「EAGLE」といったイエローレターが妙にカッコよく見えるのが、モータースポーツ文化を支えてきた証拠でしょう。それは決して見せかけだけのドレスアップではなく、最前線で闘うリアルなレーシングカーの象徴といえるのです。

(中三川 大地)

 

 

【関連リンク】

日本グッドイヤー株式会社

http://www.goodyear.co.jp/index.php

自由競争でない!? 同じタイヤで戦うモータースポーツが存在するワケは?(http://clicccar.com/2016/04/05/363828/)