3月28日、両国国技館で開かれた理事会で、多数決の結果、八角親方(元北勝海)の理事長再選が決定。貴乃花親方との一騎打ちは、得票数6対2であっけなくケリがついた。
 「良識があり紳士的に見られている八角さんは、あれでいて非常に強引なところもあり典型的な権力者。役員会でも議題にないことを決めようとし、年寄の評議員会でもそのヤリ口が痛烈に批判されていたんです。一方の貴乃花親方は“これが最後の勝負で2度と理事長選には立候補しない”と意気込みを語っていましたが、結局は空回りに終わってしまった」(相撲関係者) 

 日本相撲協会は3月30日、エディオンアリーナ大阪で理事会を開き、各親方の職務分掌を発表した。八角理事長(52=元横綱北勝海)による新体制が発表されたのだ。
 処遇が注目された貴乃花親方(43=元横綱)は協会ナンバー3の総合企画部長から代わって巡業部長に就き、協会常勤の執行部から外れた。つまり、“蚊帳の外”に出された形だ。
 理事会後は無言だった貴乃花親方は、横綱審議委委員会に出席した後、メディアに対応。「肩の荷が下りました。すがすがしい気持ちです。今日で終わりました。理事長から与えられた役割をまっとうするだけです。仲間たちとこれからの相撲界を支えて、明日を切り開く議論ができたらなと思います。理事職ではありますが、本分は弟子を育てること。日本出身の横綱、大関を1人でも多く輩出することだと思う。そこに集中していきたいです」などと話した 

 役員会で八角理事長が選ばれることは、最初から分かっていたという。貴乃花親方に票を投じるのは山響親方(元巌雄)と伊勢ケ浜親方(元旭富士)しかいないと見られていたからだ。
 相撲評論家の中澤潔氏が言う。
 「貴乃花親方の決意表明を読んでみると“相撲道”を貫くというだけで、説得力が非常に乏しいものでした。私はこれでは理事長選をする意味もないと思いましたよ。一方の出羽海(元小城ノ花)、春日野(元栃乃和歌)、境川(元両国)の3親方を説得したという八角理事長の主張は具体的で頷かせるものがあった。たとえば高校生以下の団体割引や、ケガ人続出の土俵対策としてリハビリができるような施設を国技館に作るなど、貴乃花親方との違いを見せつけたのです」

 それにしても今回の理事長選を巡っては、何やらキナ臭い騒動が頻発した。
 ある外部理事のもとには、右翼を名乗る人物から「貴乃花を応援したら殺すぞ」という旨の脅迫電話があったのだ。この事件は、元東京地検特捜部部長だった宗像紀夫外部理事も把握しており、週刊新潮の取材でも認めている。

 さらに、理事長選の背景には八角VS協会の私物化を批判される“裏金顧問”の構図も見え隠れする。
 「そんな中、貴乃花親方は焦りもあったのかな、という気がします。というのも、出羽海一門はこれまで12人の理事長のうち半分を出した保守本流。そう見ると、今当選しないと出る幕がなくなってしまう…そうした差し迫ったものがあったのかもしれません。これで今後も理事長選のキャスティング・ボートを握るのは出羽海一門の親方衆でしょう」(前出・中澤氏)