2016年4月5日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

皆さんも「グランブルーファンタジー」(通称グラブル)というゲームをご存じだろう。菅野将輝や早見あかりといった人気タレントを使った、印象深いCMを思い浮かべる方も多いだろうと思う。

今、このグラブルが、年末年始に「希少なキャラクターグループの出現率をアップさせる」というキャンペーンを行ったものの、実際にはいくら使ってもアイテムを入手出来ず、結果的に数十万円使ったユーザーらから苦情が殺到するというトラブルが起きている。

もしこれが実際に出現率をアップさせておらず、それが故意に行われていたとしたら、それは詐欺だ。消費者庁のみならず、警察も介入すべき問題であると思う。

そこで、誰も言わないから、はっきり言おう。あくまで個人的な意見であり、総意を問うつもりもないが、私はいわゆるソーシャルゲームは禁止するべきだと思っている。もちろんモバイルでゲームをさせるなと言っているわけではなく、いまのビジネスモデルを禁止するべき、という意味だ。現状のビジネスモデルにおけるソーシャルゲームは、中毒性が強すぎる嗜好物(誤解を恐れずに言えば、規制されていない麻薬)のようなものだ。

もう少し具体的に言うと、無償でゲームを配布し、ゲームに習熟しても課金アイテムを買わない限り、それ以上勝ち進むことができなくなるような仕掛けを施すことを、辞めさせるべきだと思っている。ましてコンプガチャのように、お金を払っても、欲しいアイテムが得られるかわからないような仕組みは、いたずらに射倖心(しゃこうしん)を煽り、ユーザーの正常な判断力を麻痺させるので、規制すべきだと考える。百歩譲って、課金の総額に上限を設けるべきだ。

例えば、プレイステーションなどのゲーム専用機のパッケージゲームを数千円で購入すれば、基本的にはその金額でゲームを完結させることができる。つまり、支払うべき金額は数千円まで、とユーザーは予め了解している。もちろん、ゲームを完遂するためには、プレイするための技術を上達させねばならないので、パッケージゲームを購入したユーザーは、それなりの時間を費やさざるを得ないし、時間を使ったとしても上達しなけければやり通すことができない場合もある。しかし、金銭的コストには上限があるから、ゲームをやり終えられなかったとしても、無駄になるお金は最初からいくらまでと理解している。

しかし、現在のソーシャルゲームは、最初こそ無料だが、自分がいくらお金を使わせられることになるのかわからないまま、運営者の思惑にハマってしまえばどんどん高額な課金に応じる羽目になる。

現在のソーシャルゲームは、この「上限がない」のが問題だと思う。ガチャをさせようが、課金アイテムを買わなければ強くなれないような仕組みをしようが、それ自体はいい。1ユーザー、1アカウントあたりに課金できる上限を作れば、むやみやたらにお金を使って”カモ”となるユーザーは減るだろう。

無償ゲームと称してユーザーを集め、その実、コンプリートしようと思えばお金を使わなければならない。それ自体はいい。そのゲームをやり通すためにいくらかかるのか、そこに上限を設けるべきだ。時間をかけてプレイ方法に習熟するか、お金を出したアイテムで強くなるかはプレイヤー次第だが、いくら時間をかけても上達することにならず、いくらお金をかければ欲しいアイテムが手に入るのかを隠蔽したままゲームをさせるのは、これは明らかにパチンコ以上にタチが悪いと考えている。

課金させてもいい。でも1ユーザー、いくらまで。そう上限を決めさえすれば、この業界にはびこる問題のほとんどは解消されるはずなのだ。

 なお株式会社Cygamesでは、いち早くこの問題に対応。
「安心してゲームを楽しんでもらうための4つの取り組み」を公開している。
 url. http://www.cygames.co.jp/press/press-14872/

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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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