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 ここ数年、急激に増えているのが「楽しめて、シェアしたくなる広告」だ。かつては「広告は読んでも楽しくない、特定の商品企業をアピールするもの」と捉えられていたが、今日では「広告=つまらない」という概念は必ずしも当てはまらなくなっている。そんな時代、消費者に受け入れられ、コミュニケーションを活性化するコンテンツを作るにはどうすれば良いのか。パルコ 島袋孝一氏(イベント当時)をモデレーターに、LINE 谷口マサト氏、カヤック 岩田慎吾氏が語り合った。

■「コンテンツとして成立するか」がポイント

島袋氏:近年「コンテンツマーケティング」という言葉が注目されています。Google Trendで検索すると、この言葉が登場したのは2012年頃で、その後は一気に普及してきました。こうした流れに貢献したのが、谷口さんがいらっしゃるLINEや、岩田さんのいらっしゃるカヤックだと思います。
左から株式会社パルコ メディアコミュニケーション部 業務課長(2016年3月当時)島袋 孝一氏
LINE株式会社 クリエイティブチーム チーフプロデューサー
面白法人カヤック プロデューサー 岩田 慎吾氏

 私自身、パルコという事業会社で、コンテンツマーケティングを含めたデジタルマーケティング全般を担当していることもあり、今回はこの3名でコンテンツマーケティングの現状、取り組みへの課題、目指す目標・ゴールについて語り合いたいと思います。

谷口氏:私はLINE社で、コンテンツ企画を担当して5年ほどになります。その間、100プロジェクト以上の広告企画を担当しました。当然、その陰にはボツになった企画も数多くあります。本日はそうした事例を紹介しながら、コンテンツマーケティングと、消費者とのコミュニケーションについて考えていきたいと思います。

岩田氏:カヤックの岩田です。最近担当したものとしては、昨年末の有馬記念のプロモーションで、ウォーリーとタイアップした「有馬記念でさがせ!」を制作しました。制作サイドから見たコンテンツの作り方などをお話したいと思います。

島袋氏:早速ですが、昨今のコンテンツマーケティングの状況について、LINEではどのような傾向が見られますか?

谷口氏:商品を全面的に押し出すのではなく、コンテンツとして成り立つかどうかが重要なポイントだと思います。たとえばLINEのプロモーションツールといえば、スポンサードスタンプが最も知られていると思いますが、LINEスタンプはもともと「LINEユーザー同士のコミュニケーションに使う」ツールなので、あまりに商品PRに寄りすぎたデザインはお断りすることもあります。

 また、今後活用が増えると思われる企画に、LINEの「フリーコイン」というコーナーで読めるマンガ広告があります。第一弾として、LINEで友だちにプレゼントを贈ることができるサービス「LINEギフト」の紹介にあたり、マンガで「プレゼント・ハラスメント」というコンテンツを作って告知しました。これがマンガとしても面白かったため、150万人が読了し、BS-TBSでこのマンガを下敷きにした『プレゼント・ハラスメント』という実写ドラマが作られたのです。

 マンガ自体が絵コンテのようなものなので、マンガを作って反応を見てから動画に展開するといった、新しいコンテンツ制作の流れができそうです。

■共感を促すコツは、“あるある”感の有無

島袋氏:カヤックでは、コンテンツマーケティングの状況についてどう見ていらっしゃいますか?

岩田氏:いろいろな人が「これ、あるよね」と感じる“あるある”感が落とし込まれているコンテンツであればあるほど、拡散力があると思います。当社の例でいえば、昨年のエイプリルフールに新日本プロレスリングが行ったキャンペーン「永田レンズ」があります。新日本プロレスに永田裕志選手という人気レスラーがいるのですが、「決め技をかける際に白目を剥く」キャラとして有名で、「永田選手の白目を再現するコンタクトレンズを発売した!」という面白ランディングページを制作しました。永田選手といえば白目、というほどで、プロレスファンの方に大受けし、そこから広まったコンテンツです。

 普及度合といえば、サンリオピューロランドへのO2O施策として行った「ちゃんりおメーカー」も急速に拡散された企画で、芸能人のツイッターで火が付き、リリースから3日間で500万プレイを達成しました。

島袋氏:「永田レンズ」や「ちゃんりおメーカー」は、そもそも「コンテンツマーケティング」が目的だったのですか、それとも「面白いことをやろう」という考えからスタートしたのでしょうか?

岩田氏:ちゃんりおメーカーは、サンリオピューロランドへの誘導施策として行いました。「永田レンズ」は新日本プロレスの認知拡大が目的です。ですから、どちらも初めから「コンテンツマーケティングをやろう」と意図していたわけではありません。

島袋氏:初めから狙ったわけではないのですね。このようなコンテンツマーケティング施策は、BtoBでもあり得るのでしょうか。

岩田氏:あり得なくはないと思いますが、話題化して拡散してくれるのはエンドユーザー。彼らに刺さるかどうかが大きなポイントですね。そして刺さりやすいのは、先ほども触れたとおり、いかに“あるある感”を演出できるかどうかだと思います。

MarkeZine編集部[編]、高山 透[写]、岩崎史絵[著]