ジカウイルスは脳組織も破壊する:研究結果

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ジカウイルスによる感染は胎児の小頭症だけでなく、胎児の脳細胞を破壊することが観察され、外見ではわかりにくい脳の発達障害や認知障害を患う恐れもあるという研究結果が発表された。

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米疾病管理予防センター(CDC)は4月1日(米国時間)、アトランタにある同センター本部において、蚊によって媒介されるジカウイルス感染症(ジカ熱)の米国本土における集団発生に備えるため、300人以上におよぶ地方と州、連邦政府の当局関係者および専門家を集めた

専門家たちは、感染による「小頭症」は、胎児に起こりうる問題のひとつにすぎないと懸念している。子宮内でジカウイルスにさらされた胎児は、外見ではわかりにくい発達障害や認知障害も患う恐れがある、とCDCトム・フリーデン所長は言う。

この懸念は、ジカウイルスと小頭症のつながりを深く示唆する最近のデータによるものだ。一部の研究により、ジカウイルスは発達中の脳細胞を大量に死滅させることが明らかになったのだ。

ヘルシンキ大学などによる研究グループは、3月30日付けで学術誌『New England Journal of Medicine(NEJM)』オンライン版に発表された研究論文のなかで、南米旅行中に妊娠3カ月でジカウイルスに感染した母親の胎児の発育経過を報告している。

研究グループは、血液検査とMRIを用いて、9週間の間に胎児の脳が液体に変わる様子を観察した。母親は妊娠21週目で胎児を中絶した。

ジカウイルスはヤブカ属の蚊、とくにネッタイシマカとヒトスジシマカによって媒介される(後者の媒介は前者より少ない)。

これらの蚊は、米国の一部地域に生息しており、デング熱、チクングニア熱などのウイルスも媒介しうる。

チクングニア熱とデング熱の小規模な流行が毎年、特定の地域(とくにテキサス州とフロリダ州)で突発的に発生している。公衆衛生の専門家たちは、ジカ熱も同じような動きを見せる恐れがあると推測している。

一方、『Science』誌オンライン版に3月31日付けで発表された別の研究論文では、パデュー大学の研究グループが、極低温電子顕微鏡法を用いて、ジカウイルスの詳細な3D画像の作成に初めて成功したと報告。ジカウイルスのアップ画像は、近縁のデングウイルスのそれと驚くほど類似している反面、わずかな違いも観察された。こうした研究は、ワクチンの開発に役立つ可能性がある。

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ネッタイシマカ(Aedes aegypti)と、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)の米国における分布。なお、日本ではネッタイシマカは1970年代以降は確認されていないが、ヒトスジシマカは生息。秋田県や岩手県が北限だったが、生息域を北に広げつつある