健康における“朝食の賛否”は論議中(shutterstock.com)

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 「朝食抜きか、否か!?」をめぐる健康論議は、相変わらず継続中のようだ。

 朝食はしっかり食べないと、日中の活動に大いに影響するといのが定説だった。しかし、食べないほうがいいという説が注目されたのは2011年のことだ。

 誰もが細胞内に有する長寿遺伝子、別名「若返り遺伝子」とさえ呼ばれるサーチュイン遺伝子を高めるのに空腹状態(朝食抜き)が有用だという報告が注目されたのだ。

 サーチュイン遺伝子は、体内でインスリン分泌が生じると自食作用が止まる仕組みを有し、逆にインスリン分泌がされない空腹時に活性化して健康効果を生むとされる。

 連鎖効果を狙う空腹状態は、毎日の食事を腹7分め(=1日当たりの摂取カロリーにして25%減)にするのが無理のない範囲とされる。その最適な手段が「朝食抜き」とする見解が広まったのだ。
朝食を欠くと脳出血を引き起こすリスク

 だが、今年に入り、またもや新説が公表された。国立がん研究センターなどの共同研究チームが、全国8県在住の男女8万2772人(45~74歳)を1995年〜2010年という長期に渡って追跡調査した報告である。

 その調査期間中、脳卒中(脳梗塞/脳出血/くも膜下出血)を発症した3772人、および虚血性心疾患(心筋梗塞/急性心臓死)を発症した870人については「朝食との関連」を研究陣は解析した。

 具体的には「毎日食べる」組と「週0回」組や「週1~2回」組など4派に分類して関連性を追った。結果、毎日食べる組を基準にした場合、週に0~2回の階層は脳出血を引き起こす危険性が1.36倍増、脳卒中総体では1.18倍高いという差が弾き出された。

 従来から、朝の欠食(=空腹ストレス)が肥満や高血圧につながる恐れのあることは知られてきた。が、さらに脳出血のリスクも高まるという研究報告は世界初だった。

 高血圧は「脳出血」の大きな要因であり、とりわけ早朝時の血圧上昇が危険性を高める。欠食によって朝の血圧があがればなおさらだろう。

 同じ脳卒中系でも「脳梗塞」単体では4派間の比較差は認められず、心疾患系でも有意差は見られなかったのが証左ともいえる。

朝食2回!? でも太らない

 この長期研究の成果が「朝食抜きか、否か!?」論議を再燃させるのは必至だ。さらに先日、かなり興味深い関連情報が海外からもたらされた。

 『mental floss』の掲載記事によれば、米国内の中学生を対象にした調査で「朝食抜き、ないしは不定期」派の生徒よりも、「自宅と学校で2回の朝食をとる」派の生徒のほうが太りにくいという事実が判明したと報じている。

 「2回の朝食」という部分は決して誤植でない。なんでも米国の学校給食法(National School Lunch Program)では昼時のランチ同様、朝食も支給される例があるらしい。児童の健康維持という意図以外に、救貧措置も兼ねているためだ。

最も肥満を引き起こすのが「朝食抜き」

 イエール大学とコネチカット大学が行なった研究でも、最も肥満例を引き起こすのが「朝食抜き」派と判明し、そのリスクは2倍にも上ると警告も。

 ちなみに「朝食1回」「朝食2回」双方の肥満比は僅差だった。

 この米国の児童の朝食事情と関連現象が、世界共通のものかどうかは今のところわからない。そして、世代間や年齢層も超えて現われる結果なのかも、今後の研究にゆだねるしかない。

 いずれにせよ、どんな人にも朝は必ず訪れ、誰もが空腹感に襲われる。けれども健康促進のためには食べるべきか抜くべきか、その"正解"は出ていない。
(文=編集部)