「人は生まれながらに平等じゃない。でも……」
「君はヒーローになれる」


本日4月3日より、MBS、TBS系列の日曜夕方5時からの通称“日5”枠にてスタートするアニメ『僕のヒーローアカデミア』。数多くの作品がスタートする春アニメの中でも期待の1本だ。

『週刊少年ジャンプ』連載中の堀越耕平による原作は、2014年に連載開始後わずか1年で累計発行部数370万部を突破、すぐさまアニメ化が決まったという『ジャンプ』ドリームの申し子的存在だ。昨年、動画サービス「niconico」と雑誌『ダ・ヴィンチ』による共催企画「次にくるマンガ大賞」でも見事に1位を獲得。チビッコからうるさ型まで、幅広い人気を得ている作品だと言える。

物語の舞台は、一見現実社会と変わりなく見えるが、世界の8割が何らかの特異体質“個性”を持つようになった超人たちの社会。まぁ、要するに『ONE PIECE』に出てくる悪魔の実を世界の8割が食べた世界だと考えればよかろう。
生まれ持った個性を悪用する犯罪者・“敵”(ヴィランと読む)が跋扈する中、敵を取り締まる“ヒーロー”たちは人々の憧れの存在となり、職業として国家からも認められる存在となった。

主人公・緑谷出久(いずく)は、チビでくせっ毛の冴えない少年。幼い頃からヒーローになることを夢見続け、ヒーローを養成するエリート校、雄英高校への入学を目指している。しかし、彼はこの世界では珍しい“無個性”の人間だった。つまり、何の能力も持っていない少年である。チビで、小心者で、ヒーローオタク、そして無個性。彼についたあだ名は“デク”だ。

しかし、人気・実力ともNo.1であり、デクが熱烈に憧れていたヒーロー、オールマイトとの出会いがデクの運命を変える。師を得たデクは、地道にひたすら努力を積み重ねて“ヒーローアカデミア”である雄英高校を目指す――。

アメコミ×ボンズ×『ガンダムビルドファイターズ』!


ヒーローたちが数多く存在し、社会的にも認められているという設定は『キン肉マン』にも見られるが、『僕のヒーローアカデミア』は『X-MEN』『アベンジャーズ』などのマーベル・コミックに代表されるアメリカン・コミックに強く影響を受けている。ヴィランという用語の使い方、「BOOOM」「CRASH」などの英字の効果音、オールマイトの造形などを見ても明らかだ。

アニメーション制作は『鋼の錬金術師』や『交響詩篇エウレカセブン』などの作品で知られるボンズが担当。2010年にはアメコミの巨匠、スタン・リーを原作に迎えたヒーローロボットもの『HEROMAN』を制作している。ちなみに『HEROMAN』はディズニー作品『ベイマックス』の元ネタの一つでもある。
また、ボンズは昨年、複数の異能力を持った“超人”たちが活躍する『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』も制作している(4月10日より2期がスタート)。『僕のヒーローアカデミア』のアニメ化にとって、これ以上うってつけのスタジオはない。

監督は長崎健司、脚本は黒田洋介が担当。この2人はヒット作『ガンダムビルドファイターズ』のコンビだ。『僕のヒーローアカデミア』はアメコミ風のバタくさい世界観を持つ作品だが、その根っこには熱く燃える少年マンガのスピリッツがある。そのスピリッツを最大限活かすための起用だろう。キャラクターデザインと総作画監督は『ハートキャッチプリキュア!』などで知られる馬越嘉彦が務める。

ヒーローのかっこよさは、人を救うこと


まさに個性豊かなヒーローたちが入り乱れる『僕のヒーローアカデミア』だが、原作者の堀越はインタビューで「ヒーローのかっこよさは、戦闘じゃなくて人を救うこと」と語っている。デクがオールマイトに最初に憧れたのも、オールマイトが災害に遭った人々を救出し続ける映像を見たことがきっかけだった。

これは『アンパンマン』の原作者、やなせたかしが語っていた「正義」につながる考え方である。やなせは生前、「正義とは実は簡単なことなのです。困っている人を助けること。ひもじい思いをしている人に、パンの一切れを差し出す行為を『正義』と呼ぶのです」と語っていた。

『僕のヒーローアカデミア』と『アンパンマン』の思想は、見事なまでに共通している。堀越自身も、最近『アンパンマン』の映画を見て「すごくかっこよくて」と感想を述べている(公式サイトより)。多くの人を助け、現れるだけでみんながポジティブになれるアンパンマンのような存在こそヒーローであるとし、「『僕のヒーローアカデミア』では、そういうヒーローをちゃんと描きたいなって思っています」と明言している。この作品が幅広い層から人気を得ている理由だろう。

やなせはこうも語っている。「ぼくらも非常に弱い。強い人間じゃない。でも、なにかのときには、やっぱりやってしまう。ヒーローというのは、そういうものだと思います」。
無個性で弱っちいデクが、ヒーローへの道を一歩踏み出す瞬間、いったいどんな行動を取るのか? ぜひともアニメで見て、確かめてほしい。
(大山くまお)