修学旅行中の高校生らが犠牲になった韓国旅客船セウォル号の沈没事故から16日で2年。船体は沈んだままで、惨事は韓国社会になお傷を残している。資料写真。

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2016年4月1日、修学旅行中の高校生ら死者295人、行方不明者9人を出した韓国旅客船セウォル号の沈没事故から16日で2年を迎える。船体は今も韓国南部・珍島沖の海底に沈んだまま。韓国メディアによると、犠牲になった高校生に昨年末から今年1月にかけ、「徴兵検査通知書」が届く不手際があるなど、惨事は韓国社会で尾を引いている。

セウォル号の引き揚げは、現場海域の潮流が速いことなどから難航。韓国・聯合ニュースなどによると、当初計画の今年6月から7月末まで遅れる見込みとなった。

作業を担当する中国・上海サルベージが昨年8月から水中での作業を進めているが、韓国海洋水産部は「最初に行われた中国人潜水士による調査が当初想定の4倍の4週間近くがかかったほか、その後、船から流出した油の除去作業や、船内備品の流出を防ぐための扉・窓の保護作業も当初予定の3倍近い日数を要した」などと説明。「台風が来る前に引き揚げを完了したい」としている。

引き揚げに先立っては、セウォル号の周りに横200メートル、縦160メートル、高さ3メートルの鉄製フェンスを設置する。引き揚げる際に行方不明者の遺体が流出しないようにするための措置で、世界初の試みという。

遺族の悲しみが癒えない中、韓国・ハンギョレ新聞は先ごろ、「事故で犠牲になった生徒に兵務庁から、韓国の男性なら誰でも受けるべき『徴兵(身体)検査対象案内文』が相次いで届いた」と報じた。

兵務庁は「住民登録情報化データ」に基づき、毎年19歳になる男性を対象に徴兵検査を実施する。亡くなった生徒の多くが1997年生まれだったため、遺族が正式な死亡届を提出していない生徒が対象になってしまったとみられる。兵務庁は「遺族の心をもう一度傷つけたことを深くおわびする」と謝罪したが、同紙は「事故の真相も明らかにされておらず、死亡届も出せないのに、このような通知を送る国がどこにあるのか」と憤る遺族の声を伝えている。

さらに、セウォル号事故は教育現場にも波及。韓国メディアによると、全国教職員労働組合(全教組)が事故2周年を迎えて制作した「記憶と真実に向けた4・16教科書」(4・16教材)に対し、教育部が「生徒の健全な国家観の形成を阻害するおそれがある」として使用禁止を命じた。

教育部は中学用教材で「国会前で真相究明を訴える遺族を無視する朴槿恵(パク・クネ)大統領」という見出しと共に使用した写真を問題視し、「写真にある場面だけを取り上げることで、全体的な状況を歪曲(わいきょく)しており、生徒たちに政府対する不信感を抱かせる意図が見られると判断した」などと指摘。全教組は「趣旨を無視した言い掛かり」などと反発している。(編集/日向)