2日、国連女子差別撤廃委員会が日本に関する最終見解案で、皇位継承権を男系男子に限定している皇室典範を問題視する動きを見せた。背景には安倍政権下で「女系天皇」や「女性宮家創設」の議論が白紙になったことが見え隠れする。写真は皇居。

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2016年4月2日、国連女子差別撤廃委員会が3月初め、日本に関する最終見解案に皇位継承権が男系男子の皇族だけにあるのは女性への差別だとして、「皇室典範」の改正を求める勧告を一時盛り込んだ。日本政府の抗議で最終見解からは皇室典範の記述は消えたが、問題視された背景には安倍政権で「女系天皇」や「女性宮家創設」の議論が白紙になったことが見え隠れする。

「天皇家のルール」の皇室典範は、第1条で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と規定。第2条では継承順位として「一 皇長子、二 皇長孫 、三 その他の皇長子の子孫、四 皇次子とその子孫 、五 その他の皇子孫 、六 皇兄弟とその子孫 、七皇伯叔父とその子孫 」などと定めている。現在、継承資格者は男性皇族5人。皇太子さま(56)、秋篠宮さま(50)、秋篠宮悠仁さま(9つ)、常陸宮さま(80)、三笠宮さま(100歳)の順となる。

皇位継承権に関しては、秋篠宮さまの後、長く皇室に男子が誕生せず、将来的に皇室典範に定める資格者が存在しなくなる恐れが生じたため、小泉政権下の05年1月、首相の私的諮問機関として「皇室典範に関する有識者会議」が設置された。有識者会議は同年11月、承継範囲を拡大し「女性天皇や女系天皇の容認、長子優先」などの報告をまとめた。

女性天皇は天皇自身の性別を指し、過去に「推古天皇」などの例がある。一方、女系天皇は天皇の性別にかかわらず、母方から皇統を受け継ぐことを意味する。実際に存在したかどうかは諸説ある。06年9月、悠仁さまが生まれたため、議論はさたやみになり、小泉首相の後任の安倍首相は有識者会議の報告を白紙に戻した。

その後、民主党・野田政権下の11年秋に浮上したのが「女性宮家の創設」。当時、未婚の女性皇族が8人いたが、うち6人が成人で、皇室典範の規定により結婚すると、皇族の身分を離れるため、皇族の人数が減少し将来の皇室活動など支障を来しかねなかった。そこで皇室典範を改正し、女性宮家を創設して結婚後も皇族にとどまれるよう当時の宮内庁長官が働き掛けた。

12年10月、野田政権は女性宮家を創設すべきとする「論点整理」をまとめ、有識者の意見やパブリックコメント(意見公募)で国民の声を広く聞いた上で、皇室典範改正案の国会提出を目指した。しかし、直後の同年12月、2度目の安倍政権となり、国会提出は見送られた。

日本メディアによると、国連女子差別撤廃委が日本側に提示した最終見解案は「委員会は既存の差別的な規定に関するこれまでの勧告に対応がされていないことを遺憾に思う」と前置き。「特に懸念を有している」として「皇室典範に男系男子の皇族のみに皇位継承権が継承されるとの規定を有している」と指摘し、母方の系統に天皇を持つ女系の女子にも「皇位継承が可能となるよう皇室典範を改正すべきだ」と勧告していた。

同委の委員長は、日本の林陽子弁護士が15年から務めている。林氏は長年、女性問題に取り組んできた。最終見解案は、小泉政権下の有識者会議報告とほぼ同趣旨。底流には伝統的な価値観を重視して皇室典範改正の動きを二度にわたり葬ってきた安倍政権への批判もうかがえる。(編集/日向)