モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(54)が、クルマの買い取り価格について解説する。

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 ご同輩諸君。毎年3月下旬は、クルマが最も売れる時期だ。クルマが売れるということは、それまで乗っていたクルマを手放すということでもあるが、皆様はどこに売却しているだろう?

「そんなの、ディーラーの下取りに決まってるよ」

 新車と引き換えに、これまで乗っていた愛車をディーラーに買い取らせる。それなら一切面倒がないし、信頼感も抜群だ。「下取り査定頑張りますから!」という営業マンの押しに負けて、新車への買い替えを決めた場合もあるだろう。

 が、もしも諸兄が少しでも高く愛車を売りたいと思っているなら、ディーラーの下取りはオススメしない。私はここ数か月でクルマを3台売却したが、ディーラー下取り査定額の低さをイヤと言うほど思い知らされた。

 たとえば、先日手放したトヨタ・アクア。4年落ち走行4万4000km、ボディ左側は家族がボコボコにぶつけたまま。ディーラー査定額は33万円にしかならなかった。

 あまりに傷がひどいので、人に見せるのも恥ずかしかったが、インターネットの「クルマ買い取り一括査定」を申し込んだところ、最終的にはなんと67万円もついてしまった。ディーラー提示額より30万円以上高い。うれしい悲鳴である。

 トヨタ車からトヨタ車に買い替えるのだから、トヨタディーラーは頑張ってくれるはず。そう信じていたらバカを見るところだった。

 結局ディーラーは、下取りに関しては殿様商売。多くの客は他店の買い取り額と比較もしない。「下取り頑張りますから!」と口では言っても、それは「ウチとしては頑張る」に過ぎないのだ。

 ただし、買い取り店は多少面倒な部分がある。

 インターネット一括査定の場合、まず電話攻勢がものすごい。10社に査定を依頼すると、クリックして1秒後には、10社から一斉に電話がかかってくる。どの買い取り店も「すぐにそちらに伺いますから、ぜひおクルマを査定させてください!」と迫ってくる。「いや、だいたいの相場を教えてくれれば……」などと言っても許してくれない。

「お値段に幅が出てしまいますから、ぜひ一度実際におクルマを!」と強烈にプッシュされる。査定にはなんだかんだで1時間近くかかるから、10社全部に見せていたら大変な労力だ。

 買い取り店は、中古車を買い取ってナンボ。買い取れなければメシのタネがない。だからこそ査定額でも頑張るのだが……。

 しかし、買い取り店に直接電話したり、クルマを持ち込んで査定させると、競争相手が見えないので、低めの査定になってしまう。「ディーラーよりも5万円お高く買い取ります!」程度でお茶を濁して、「まあいいか」と言うカモを待っているのだ。

 それと、「売る気はないけど、ちょっと査定額を知りたい……」なんて、気軽に電話しない方がいい。相手はマニュアルで武装した百戦錬磨の営業マンである。「売ってくれなかったら帰りません!」くらいの勢いに押され、「売ると決めたわけじゃなかったのに、その日のうちに愛車を持って行かれた……」(60代男性)というケースもある。

 そういった激しい戦いに勝利すれば、ディーラー査定額+30万円も夢ではないというわけだ。

※週刊ポスト2016年4月8日号