集団的自衛権の行使などを認める安全保障関連法が3月29日に施行された。これに対し、安保法が念頭に置く中国は警戒感を強めている。資料写真。

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2016年4月1日、戦後日本の安全保障政策を大きく転換する安全保障関連法が3月29日に施行された。安保法が念頭に置いているのは、東シナ海や南シナ海で海洋進出を図る中国や国際社会への挑発行為を繰り返す北朝鮮。これに対し、中国側は「歴史問題」を持ち出してけん制するなど、警戒感を一層強めている。

安保法は、集団的自衛権の行使を認める改正武力攻撃事態法など10法を一括した「平和安全法制整備法」と自衛隊をいつでも海外に派遣できる「国際平和支援法」の2本立て。日本を取り巻く国際情勢の変化に「切れ目なく対応する」(安倍晋三首相)狙いだ。

中国メディアなどによると、中国外務省の洪磊報道官は28日の記者会見で、安保法施行について「日本が歴史の教訓をくみ取り、平和発展の道を歩むことを希望する」と言及。さらに「アジアの近隣諸国がこの問題を注視してきた原因は歴史にある。日本が軍事・安全保障分野で慎重に行動し、隣国との相互信頼を深め、地域の安定に寄与する政策を実行するよう望む」と、クギを刺した。

安保法について、中国青年報はこのほど、「反戦の声、日本主流メディアの注目を集めることはなお困難」との記事を掲載。「侵略戦争の歴史を反省し、安保法を批判する日本社会の声が消えたわけではないが、日本の主流メディアの注目を集めることは困難な状況にある」と指摘した。

その上で、「NHKの著名報道番組『クローズアップ現代』」の国谷裕子キャスター、テレビ朝日の報道番組『報道ステーション』の古舘伊知郎キャスターら安倍首相に批判的な著名キャスターが相次ぎ降板するなど、日本の世論やメディアを取り巻く環境は大きく変化している」などと解説してみせた。

中国共産党系の環球時報も、日中関係に関する中国の王毅外相の「改善の兆しは見えるが、楽観視できない。日本政府は日中関係改善を掲げる一方で、絶えず中国に面倒をもたらしている」との発言を紹介。「中国の脅威」を理由に安保法を成立させたことなどを例に挙げ、「一方では歴史を正視して未来に向かうと言いながら、一方では歴史問題で逆行する。一方では中国経済の発展のチャンスを利用しながら、一方では中国経済のリスクをあおり立て、中国の脅威を喧伝する」(国際問題専門家の譚亜氏)と批判した。

環球時報は別の記事で、専門家の見方として「日本の軍国主義復活の可能性は低い」としながらも、「日本は至る所で『中国の要素』を利用して、平和憲法とこれまでの安保体制を捨て去ろうとしている」「国際社会で“中国の孤立”を狙っている」などと強い懸念を示した。

一方、韓国・聯合ニュースによると、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は22日付の紙面で安保法に触れ、「日本は今、武力増強に熱を上げている」「日本の自衛隊は米軍に次ぐ侵略武力だ」などと非難した。(編集/日向)