1日、中国の一部都市で不動産価格が急上昇するたびに、日中両国では「中国バブル経済崩壊論」がささやかれ、中国の不動産市場とバブル崩壊前の日本経済を同一視するような文章が次々と出現する。資料写真。

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2016年4月1日、中国の一部都市で不動産価格が急上昇するたびに、日中両国では「中国バブル経済崩壊論」がささやかれ、中国の不動産市場とバブル崩壊前の日本経済を同一視するような文章が次々と出現する。環球時報が伝えた。(文:安田明宏・三井住友トラスト基礎研究所 海外市場調査部副主任研究員)

確かに、今の中国は以下の方面において、不動産バブル崩壊前の日本とある程度の相似性がある。

(1)為替介入による過剰流動性

1985年、プラザ合意によって円高が進み、景気回復のため米ドルを大量に購入したことで流動性が過剰になり、バブルがもたらされた。中国も2005年の人民元為替改革後、貨幣価値の安定を保つために米ドルを購入したほか、2008年に実施された「4兆元の経済刺激策」により、過剰流動性の問題がある程度存在する。

(2)労働力の減少

日本は90年代前半に労働人口がピークを迎え、その後は減少しており、住宅ニーズにも影響が出ている。中国も人口ボーナスが減少するという問題に直面している。

(3)物価の変動

バブル崩壊前は日本の物価は相対的に安定していたが、崩壊後は長期的なデフレに陥った。中国は現在は物価が相対的に安定しているが、金融政策は効果が遅れて出るため、デフレリスクにはやはり警戒が必要だ。生産者物価指数(PPI)が数年連続で低下していることはその一例だ。

(4)シャドーバンキングの存在

日本では住宅金融に従事する企業が非銀行機関を通じて融資を行い、バブル崩壊後に資金を回収できず、不良債権の処理に時間がかかった。中国でも、信託資金あるいは銀行の金融商品資金の一部が地方の融資プラットフォームから不動産市場に流入している。

(5)金融の自由化

日本で80年代に始まった金融自由化により、日本企業の資金調達手段が多様化したが、海外資金は資産バブルを助長することとなった。中国でも自由貿易区の建設、預金金利の上限・下限の撤廃、人民元オフショア市場の創設といった措置は、中国の金融自由化を加速する一方で、バブル助長のリスクももたらしている。

こうした状況ではあるが、中国は日本の経験を参考にし、バブル崩壊および長期的な経済低迷を回避することができる。

まず、日中両国は発展の段階が異なる。日本はバブルが崩壊したとき、経済成長の潜在力が不足していた。中国も高度成長期は終わっているが、依然として中高速の経済成長を維持しており、まだ潜在力を発掘できる。

次に、両国は経済体制が異なる。日本は自由主義経済だが、中国は社会主義市場経済であり、政府のマクロコントロール能力が強い。自由主義経済の日本では、政府が政策実施のスピード、タイミング、適時性のバランスをとりにくい。一方、中国はこの面において柔軟性と実行力を兼ねそろえている。別な角度から見ると、中国の国民は政府の経済政策に自信を持っており、政府は救済措置を打ち出す能力があると考えている。

さらに、両国は都市化のレベルにも違いがある。経済が成熟期に入った日本では都市化が完了しており、住宅ニーズはそれほどない。一方中国の都市化は依然として高度発展中であり、住宅ニーズは大きい。

このほか、中国は日本よりも国土が大きく物が豊富で、地域間の経済発展の格差も大きい。局地的な動向が全国的な発展の流れと一致しないことは正常な現象だ。不動産価格を例にとると、急上昇しているのは一部の大中都市に限られている。

中国経済は新常態に入った。不動産市場も同様だ。一部都市の不動産価格の変動は、バブルの膨張と崩壊とも言えるが、中国は日本のように「失われた20年」に突入することはないだろう。中国経済の中高速成長率が不動産市場を支え、政府が打ち出す不動産政策が往々にして速やかに功を奏するからだ。(提供/人民網日本語版・翻訳/SN・編集/武藤)