JFA副会長就任の岡田武史氏、サッカー界全体での意識改革を求む「ここで新たなイノベーションが必要」

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▽日本サッカー協会(JFA)は1日、JFAハウスにて元日本代表監督で株式会社今治.夢スポーツの代表取締役社長を務める岡田武史氏(59)の副会長就任発表会見を実施した。

▽会見場に登場した岡田氏は、ジョークを交えながら、「やれる限りのことはやっていきたい」と所信表明。記者から問われたいくつかの質問に対しては、ときおり熱っぽく抱負を述べた。

岡田武史副会長(株式会社今治.夢スポーツ代表取締役社長)

「久しぶりに、この協会で記者会見することになりました。この度、副会長(就任)ということで、田嶋(幸三)会長から要請を受け、最終的に引き受けることにしました。私は今、どうしても投げ捨てられない仕事が今治にあるので難しいとお答えしていたが、常務理事会と理事会の月2日でもいいからと」

「2日でどれだけお役に立てるのかと悩んだが、今までもそういう人は沢山いたからと言われたので、引き受けることにしました。そういうことで、こんなにも集まっていただく影響力はないかもしれませんが、やれる限りのことはやっていきたいと思っています」

――田嶋会長からどのように要請されたか。また、決め手は?

「副会長をやってほしいと。これから日本のサッカーを変えてほしいので力を貸してほしいということでした。僕も忙しくて時間が取れない中、ちょうど内閣府の会議で金沢から大阪にいって、大阪から宮崎にいったとき、間の大阪空港まで来てくれて、そこの喫茶店で話をしました。彼の持ち前の熱意と、今治の市長さんや地元の人たちに相談したところ、みんなが『頑張れ』と言ってくれた。そういう後押しも大きかったです」

――副会長として今後の役割は

「常務理事会と理事会に出るということで、具体的な業務ということはなく、会長の方から全般的に意見を言ってもらいたいと。高円宮妃久子妃殿下のもとにご挨拶に行ったところ、周囲と同じ意見じゃなくて、思い切った意見をどんどん言ってほしいと言われました。僕が今まで知らなかった四国リーグというサッカーの世界を経験し、今までやってなかった経営を経験したことで、今までと違った視点を持つようになった」

「経営なんかでもそうだが、『我々はこういうものを売りたい』、『こういうことができる』だけではダメ。『お客様がどういうことを要求しているのか』、『お客様がどういうことに不満を抱いているのか』ということに対してのソリューションが結果的に売り上げに繋がっていく。こういう視点が大事です」

「これをサッカーに置き換えると、今はどうもサッカー協会があってサッカーをやらしているイメージがある。そうじゃなくて、多くのサッカーを愛する人々がいて、はじめてサッカー協会がある。今まで僕が代表監督とかに携わりながらも気づかなかった視点を意見として、言っていきたい。サッカー界全体が1つとなり、戦う相手をはっきり、明確に外に向けて外に求めていけるようにお手伝いできればと思っています」

――育成の部分で岡田さんがやりたいことはあるか

「現実に、私は今治で育成からやっているので、会長からも今、今治でやっていることがサッカー界のためになることだからと。私が具体的にサッカー協会の育成に口を出すことはないと思います」

――日本のサッカー界や代表をどう見ているか

「会長、技術委員長が変わるといい試合(3月29日のシリア戦)をした。(技術委員長の)西野(朗)さんに『さすがですね』と言ったら『バカやろう』と言われました(笑)。すごく、素晴らしいなと思っていますし、海外でプレーする選手が何人もいるんで。ちょっと昔ほどの加速度はないにしろ、着実な進歩はしている。日本のサッカー界自体も、フラットにきている感もありますので、だからこそ、ここで新たなイノベーションが必要なのかなと」

――協会の意識改革も考えているか

「全くない。まだ何も考えていないです。今日、初めて言われたので。方向性は会長が示すと思うので、それに合わせて考えていきたいと思います」

――経営者と副会長の二束のわらじを履くことになるが

「正直言うと、去年の状況だったら絶対に引き受けることはできなかったです。去年、一年やってみて、自分の中で反省として、すべて自分でやろうとし過ぎていました。周りを見たら自分より優秀なスタッフがいるのに。彼らと何が違うかっていうと、私の危機感。優秀なヤツにどうやったら危機感を持たすためにも、全部任せようと。ウチは1月末決算なので、ある程度任せることにしました。なので、私は総合チェックするだけです」

「これまで経営者ぶっていましたが、そんなことしていても仕方ないなと思ったので、次の株主総会で新しい社長を任命して、僕は代表権を持った会長になることにしました。このことがなければ、ちょっと引き受けられなかったんですけど、私の負担も減りましたし、グラウンドにも出られるようになり、時間も作れるようになりました」

――代表監督を退かれて以降、外から見てどんなところが足りないと感じるか

「代表というよりも、すべての面で日本が急成長できたのは、サッカー協会というこれだけのお金を動かす組織を築き上げたこと、指導者の養成と若手育成で素晴らしいシステムを作ったこと。しかし、Jリーグができて20年が経ち、作った人の心が薄れつつあるように感じます」

「どっかで変化が必要になってきていると思います。企業でもそうだが、素晴らしいシステム、素晴らしい物を作ればそれでいいかと言ったら、それだけではダメ。悪いからっていうよりも、時代の中でマンネリ化してきたところもあるんじゃないかと。作る人の心も見見直してみることも大事かなと思っています」

――中国で監督を務めた経験を生かすつもりか

「1つは、アジアの中でまだまだ日本のサッカーはリスペクトされています。中国にしろ、台湾にしろ、マレーシア、そういう国が何を欲しているのかというと指導者養成の部分。そういうものに関して、日本はまだまだアドバンテージを持っているなと。それに安堵することなく、新しいバージョンを作っていくことも必要です。日本の良いところっていうのは、世界に提供していかなければならないのかなと思って言います」

――今治でのメソッドを日本協会に持ち込むことは考えているか

「我々のやろうとしていることは、本当に新しい試み。ですから、はっきりいってリスクがあります。私たちがやっていることが絶対正しいとも思っていません。ただ、チャレンジしてみたいという気持ちでやっています。協会のような大きなところで、こんなリスクのあるようなことはできません」

「私たちの規模だからできるものであり、これが良かったかどうかがわかるのは10年後のこと。良い結果が出たら、こういうのもありますよと提案できますが、今の時点で提案はできないです。それはリスクが大きすぎますし、誰も責任は取れない。育成を間違えると、その結果は10年後に出てくるものですから」