住宅ローン地獄に陥らないために…子育て世代が知っておくべき心得

写真拡大

Yさん(52才・息子2才)は、結婚したのが遅く、お子さんはまだ小さいという男性。年収は1000万円と高いのですが、少し前に約7000万円もする家を買ってしまいました。あと8年で定年なのに、ローンをどこまで返せるか、とにかく心配だということで相談に見えたのです。

­

買ってしまったあとに聞いても仕方ありませんが、どうして7000万円の家にしたのか一応、聞いてみました。すると、独身も長かったので意外に貯金があり、頭金として2000万円ぐらい入れられた。それで業者さんからも見た目の年収でいくとローンも全然問題ないし、お宅の年収ならこれぐらいの家を持つのは当たり前です、というようなことを言われて舞い上がっちゃったと。それで契約して、いざローンが始まってみると、不安がもくもくと……というわけです。

­

計算してみると退職の時点で3000万円ぐらいローンが残るので、退職金がゼロになってしまう。退職金がゼロでもよければ家は手元に残りますが、老後資金も教育資金も全くない状態。お子さんが小さいうちしか貯められないから、奥さんもいまから働いて、働いた分はすべて繰り上げ返済に入れるぐらいの気持ちでいないと立ち行かなくなりますよ、とお話しました。

­

ところが奥さんは―40代後半の方ですが―、これまで正社員として働いたことがなく、外に出るのが好きではないため、働くこと自体に消極的。Yさんからは妻が働かないで何とかする方法はないのか、と懇願するように聞かれましたが、「ないです」としか言いようがありません。もうそうなると何かをあきらめてもらわないとプランニングできないので、ご夫婦で話し合ってから、またご相談に来てくださいとお話して別れました。
年収500〜700万円の30〜40代は3000万円台が限度
結局、若い人でもなかなか手を出さないような価格の物件を50代で購入するというのは、やっぱりおかしい。Yさんの場合も4000万円台の家を選び、頭金に2000万円を入れて、残りをローンにすれば全く無理がなかったわけです。

­

いまは都心の物件価格が、どんどん上がっています。どうしても高い物件に誘導されてしまうので、初めてのマイホームの予算立ては、ほんとうに難しい。予算を間違えたくなくても間違えてしまいそうな相場だということです。

­

予算で失敗すると、住宅ローンの返済に窮するのは確実です。ローンは借りられる金額ではなく、無理なく返していける金額で借りるのが基本。その目安は年収の5倍が限度です。また年収に対して返済の負担割合は25%以内なら安心と言えるでしょう。

­

ともかく30〜40代の子育て世代で500〜700万円ぐらいの年収の人は、3000万円台でおさえておかないと、子どもの教育資金が増えたときに住宅ローンが重石になります。3000万円前半を上限額と考えると、無理はしなくてすみます。

­

それから、よく頭金は2割といわれますが、その2割を貯めるために購入時期が遅くなるのも考えもの。もちろん頭金はある程度必要ですが、購入時期が遅れて繰り上げ返済のチャンスを逃すぐらいなら、頭金は1割でも、その頭金を貯めようとする気持ちを繰り上げ返済に使ってねと言いたい。繰り上げ返済のチャンスは子どもが小学校3年生までですから。4年生からは塾代などで教育費がアップするので、なかなか繰り上げ返済できなくなります。

­

実際に頭金を貯めるのに5年かけるのと、5年間で同じ金額を繰り上げるのでは、返済終了時期に10年の差が出てきます。頭金が1割のまま購入に踏み切る代わりに、5年間のあいだに1割分の頭金と同額程度を繰り上げ返済に充てる方が、10年くらい早く、返済が終わるわけです。返済の終わりは早いほうがいいので、1割を超えていい物件が見つかったらGOサインを出して問題ありません。ただし繰り返すようですが、予算立てにはくれぐれも慎重になってくださいね。

­

<プロフィール>

畠中雅子/ファイナンシャルプランナー

社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』(主婦の友社)、コミックエッセイ『結婚したらすぐ考えるお金のこと』(KADOKAWA)など著書多数。

­

取材・文/池田純子

写真© yayoicho - Fotolia.com