錦織圭(ATPランキング6位、3月21日付、以下同)が、マイアミオープンで3年連続でベスト8)に進出し、トップ10プレーヤーとして安定した成績を、マスターズ1000の大舞台でも披露している。

 錦織に帯同しているダンテ・ボッティーニコーチは(※マイアミにマイケル・チャンコーチは来ていない)、「圭の調子はとてもいいよ。インディアンウェルズの後も、同じルーティーンをこなして、いい状態」と、錦織のコンディションのよさに笑顔を見せる。

 続けて、2016年シーズンの錦織のパフォーマンスについても次のように語る。

「ここまで、いい結果を残していると思います。オーストラリアン(全豪)オープンの準々決勝では、(ノバク・)ジョコビッチ(1位)に負けたが、彼は本当にいいプレーをしていたからね。メンフィスで圭は、4連覇を達成しました。これは、決して簡単なことではありません。圭が、とても安定したプレーができていたのだと思います。

(マスターズ1000の)インディアンウェルズでは、初めてベスト8に進出しました。ラファ(ラファエル・ナダル、5位)との準々決勝では、圭にもチャンスはありましたね。ラファがいいプレーをされると、その勢いを止めるのは簡単なことではありません。でも、ここまで圭はいいと思いますよ」

 錦織がツアーの中でベストリターナーのひとりであることは周知の事実であり、多くの選手にとって脅威となっている。攻略法として、錦織のセカンドサーブを攻撃的にリターンして突破口を開こうとする場面がたくさん見られるようになった。

「ほとんどの選手が、圭のセカンドサーブをアタックするべきだと気づいています」

 ボッティーニコーチも認識しており、錦織と対策を話し合い、昨年からサービスの改善に努めている。

「サーブのトスを、(錦織の目線から)もう少し右側に上げて、コートの中でボールを捕らえて、サーブを打ち終えるようにアドバイスしています」

 さらに、錦織のセカンドサーブはスピードとパワーがないため、工夫が必要だとも指摘する。

「セカンドサーブをいろいろミックスしようと試みています。少しスピンサーブの回転量を増やしたり、もっとスライスを使ったり、単調にならないように、異なった種類サーブを使うようにアドバイスしています。うまく機能してきていると思います。でも、もちろん試合が接戦になると、それを実行するのが少し難しい時もあります。当然プレッシャーがかかりますから。だからこそ、僕たちは練習に取り組んでいるのであって、圭もそれをわかっています」

 錦織のサーブの工夫は、マイアミオープン3回戦で第27シードのアレクサンドル・ドルゴポロフ(29位、ウクライナ)を、6−2、6−2とストレートで破った時にも見られた。錦織は風上からサーブをする時、絶対サービスブレークをされないように心がけた。風下からは、なるべくファーストサーブを入れるようにしたり、セカンドサーブのサーブの時には、リターナーのボディー(正面)に入れたりした。

 サーブのプレースメントを重視し、いろいろ工夫して状況を打開するのは、もともと錦織が持ち合わせているゲームセンスであり、彼の真骨頂でもあるのだ。

 ボッティーニコーチは、「マイアミでは、優勝が目標です」と力強く宣言する。

「圭への期待は、もちろん大きいです。今はどの大会に出場する時も優勝を期待していますし、私たちはいつも優勝したいと思っています。彼もそれができる強いメンタルを持っています」

 トップ10プレーヤーの錦織の主戦場はマスターズ1000大会であり、そこでよい結果を出すべきであるとボッティーニコーチも感じている。

「年々、圭がマスターズで優勝できる可能性は大きくなってきていると思います。できることなら今年、マスターズの初タイトルを獲得できたらいいですね。特に今年はいいプレーができていますから、2大会目となる(マイアミの)マスターズで初優勝できたらいいですね。もちろん1回といわず、何回でも優勝できたらいい」

 今回のマイアミ大会は、ドローのボトムハーフ(下半分)のシードダウンが激しい。2回戦で、第4シードのスタン・バブリンカと第5シードのラファエル・ナダルが敗れた。さらに3回戦で、第2シードのアンディ・マリーと第9シードのジョー=ウィルフリード・ツォンガが姿を消した。

 この時点でボトムハーフでは、第6シードの錦織が残っているシード選手の中で最上位となり、この状況をマスターズ1000初制覇への追い風としたいところだ。

「(試合ごとに)ストロークとサーブがよくなってきているので、次に向けて、自信がみなぎっています」

 錦織がボッティーニコーチとともに、週末マイアミで大きな仕事をやってのけるかどうか、を楽しみにしたい。

神仁司●文 text by Ko Hitoshi