外国で起きた心温まる出来事に感動することも素晴らしいが、そこから自らが生かすべき教訓をくみ取ることは、さらに高尚な行為と言えるだろう。中国メディア・証券時報は、先日中国で話題になった北海道の秘境駅の閉鎖について「明日は我が身」であると警告する評論記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 外国で起きた心温まる出来事に感動することも素晴らしいが、そこから自らが生かすべき教訓をくみ取ることは、さらに高尚な行為と言えるだろう。中国メディア・証券時報は、先日中国で話題になった北海道の秘境駅の閉鎖について「明日は我が身」であると警告する評論記事を掲載した。

 記事は、北海道にあった旧白滝駅が先月、この駅を利用していた女子高校生の卒業を待って営業を停止したことについて「温情を感じさせるが、実はその背景には残酷な一面がある」とし、高齢化や大都市化によって農村や地方の小さな都市が衰退を続けていることの象徴であると説明。「中国の小都市の命運も似たようなものである」と論じた。

 そのうえで、日本では1960年代の経済成長以降、農村人口の流出が止まらず、大・中・小都市で機会の不均衡が発生していると解説。旧白滝駅の廃止についても現地の過疎化がという大きな背景が存在することを伝えるとともに、村の消滅、人口や行政機能、医療福祉機関などの都市移転が進んでいるとした。

 記事は、これらの状況は「中国にも存在する」とし、農村地域の中心的存在だった郷や鎮は「10年前に発展が止まり」、現在大量の不動産建設が進んでいる「四線都市」(経済発展が遅れている地方の小都市)も現実的な発展ペースは遅く、現地で金儲けができるチャンスは極めて少ないと指摘。一方で「三線都市」(比較的大きな経済規模を持つ地方都市)が目覚ましく発展しつつあると論じた。

 そのうえで、中国の高齢化に伴い人口が減少することが見込まれる地方の小都市を発展させることは「財産の浪費」であり、人口が流出することが決まりきっている地域への投資も「賢いものではない」と評している。

 北海道をはじめとする地方鉄道路線における廃駅、廃線は、記事が指摘するように現地の人口流出、過疎化、高齢化を象徴する事象であることは間違いない。東京など大都市への人口集中に危機感を示す論調もある。単に「感動的なストーリー」で終わらず、から現実的な背景を認識し、紹介する中国メディアの姿勢は評価すべきだ。

 中国における都市と農村の二極化は深刻だ。沿海部の地域が経済発展を遂げ潤う一方で、地方の農村は完全に取り残された。貧しい農村人口を減らすべく、農民たちをお仕着せの地方小都市に移住させるという半ば強引な「都市化」も行われているが、果たして農民たちの幸福のためになっているのかどうか。広大すぎる国土に散らばる、膨大な「取り残された地域や人びと」が存在する限り、中国に「小康社会」や「和諧社会」はやって来ない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)