朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)3月31日(木)放送。第26週「柔らかい心」第154話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一


154話はこんな話


新次郎(玉木宏)が倒れる!

嘘と誠】


春が来て、梅の花が一輪咲いた。
雁助(山内圭哉)が、「嫁も死んでしもうて」とあっさり言って、うめ(友近)がまた反応して、最後には文通しようっていう話になっていることや、成澤(瀬戸康史)の日の出女子大学が順調なのも、どうでもいい。
新次郎に尽きる。
あんなふうにバタリと倒れてしまうなんて! あさの頬に触れようとした手のまま固まってしまうなんて! 

激しい動揺を抑えようと、新次郎(玉木宏)が三味線で弾いていた曲が気になったので、NHK大阪の広報担当の方に聞いたところ、77話で弾いていたのと同じ「うそとまこと」という端唄だと教えてもらった。どうやら新次郎はこの曲がお得意らしい。
それにしても「うそとまこと」! なんというタイトルだ!
「古典芸能ベスト・セレクション 名手名曲名演集 端唄」を調べてみると「嘘と誠」として収録されていた。その歌詞は「(前略)だまされぬ気でだまされて 末は野となれ 山となれ(後略)」とある(全体の歌詞はかなり短い)。
これは男女の駆け引きを歌った色っぽいものだろうか。それとも、男に騙された女の悲しみを歌ったものだろうか。いずれにしても、世の中には嘘と誠が背中合わせで存在している。例えば、男女の仲は、全部を明かさず、少しは謎の部分をもっていたほうが良いのだ、たぶん。たとえ遊んでも、一番大事な妻には一切気づかせないスマートさが大事。そう思うと、浮気も本気もやたらあけすけな昨今の色恋事情の野暮なことといったらない。

新次郎は結婚後、ほんとにあさ一筋だったのか、お墓のなかまでもっていくんだろうなあ。
このCDの解説によると、端唄とは「江戸時代中期から幕末にかけて流行した歌」で「庶民の歌」でもあり、「ちょっぴり卑俗で華やかなのが特徴」だそうだ。

新次郎が、祝言の日に紅葉狩りに行ってしまった時、弾いていたのは、「浪速の四季」。
なんて雑学で、必死に気持ちを落ち着かせるしかない。
聞いてみると、端歌もなかなかいいものだ。
(木俣冬)

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