「よき患者」になることが一番

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最近、教育現場で「モンスター・ペアレンツ」が問題になっているが、医療現場でも、医師らに乱暴な態度をとり、理不尽な要求を突き付ける「モンスター・ペイシェント」(怪物患者)が国内外で問題になっている。

問題行動ばかり起こす患者は医師から誤診される危険性が高まるという研究が英医師会誌「BMJ Quality & Safety」(電子版)の2016年3月7日号に発表された。適切な治療が受けられなくなり、患者本人が困る結果になるわけだ。

普通の患者より診療ミスが42%多くなる

研究を発表したのは、オランダ・エラスムス大学医療センターのシルビア・マーメイド准教授らのチーム。マーメイド准教授の推定によると、同医療センターを受診した患者のうち約15%は、医師に対し攻撃的な態度をとったり、あからさまな不信感を見せたりする「モンスター患者」だ。研究は、モンスター患者に対し医師が適切な診断、治療を行っているかを調べるのが目的だが、1対1の人間関係のため個々のケースを集約して分析するのは難しい。

そこで、医師と患者の問診の架空のシナリオを作り、医師たちから病名の診断と治療法の回答を求める方法をとった。同じ病気について普通の患者とモンスター患者の2つのシナリオを用意した。モンスター患者は自分の症状を説明する際も医師に非協力的で、侮蔑的な態度をとったり、要求が多かったり、医師の助言を無視したり、指示に従わなかったりする内容だ。

この架空シナリオを開業医63人に診断してもらった。すると、単純な症例の場合、普通の患者に比べ、モンスター患者の診療ミスは6%多かった。複雑な症例の場合、モンスター患者の診療ミスは42%も多くなった。

医師の冷静さと集中力を奪う

同じテストを病院の研修医74人に行うと、同様の傾向がみられた。やや複雑な症例で、モンスター患者の診療ミスは20%も多くなった。ただし、開業医、研修医ともに、テストで十分な熟考の時間が与えられれば、診療ミスは減った。

マーメイド准教授は「モンスター患者の問題行動が、医師の冷静さと集中力を奪い、的確な診断を下すことを難しくしています。十分な治療が受けられなければ、患者がさらにいらだつ悪循環になります。医師が患者への対処方法を学ぶ必要はありますが、どうしても不信感がぬぐえないようなら、他の医師を紹介することも一案でしょう」と語っている。

いずれにしろ、病院で「モンスター」ぶりを発揮しても得になることは何もないようだ。