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確定拠出年金は個人の選択に基づく年金制度なので、どういった資産配分が適切だという「正解」はなく、本人が納得できていればそれで良いわけですが、前回のコラムで触れたように統計上の資産配分を見る限り、本人の納得とは言い切れない行動バイアスが実際には大きく影響しているようです。

もう少し言うと、職場で確定拠出年金に加入し、資産配分を決めることになったものの、よく分からないのでとりあえず元本確保型に100%振り分けたきり、そのまま放置されているパターンや、うっかりすると決められた期日までに資産配分を決めなかったため、掛金が自動的に元本確保型に配分されてしまっているパターンが一定数の数字となって統計に表れているように思われます。

この資産配分における行動バイアスは、実際、確定拠出年金加入者の利回りの二極化という結果として表れています。株式会社格付投資情報センターが発行する「年金情報」誌の集計データによれば、確定拠出年金加入者の通算利回りは、2015年3月末時点で約39%が0-1%に分布する一方で、約18%が10%以上に分布するという両極端な結果になっています。

0-1%利回りということは資産の大半を元本確保型に配分している状態を意味します。元本が割れなければ良いではないかとのご意見もあるかもしれませんが、確定拠出年金は原則60歳まで引き出すことのできない老後のための準備資金です。1%を下回る低い利回りで運用を続けた場合、老後に向けた十分な資産形成ができない可能性が高まることになるのです。

長期の資産形成においては元本割れリスクのみに目を奪われるのではなく、資産の成長性、すなわち期待リターンにも目を向けることが大切です。そこで積極的に活用したいのが投資信託ですが、もしかすると選択肢がいろいろありすぎて、どれを選べばよいのか分からないという方もいるかもしれません。

○「アラカルト分散投資」と「セットメニューおまかせ投資」

そんな方にご紹介したいのがあまり難しく考えない二つの方法です。一つ目は「アラカルト分散投資」、二つ目は「セットメニューおまかせ投資」です。

前者はレストランで単品メニューを複数注文して自分で組み合わせるイメージ、後者はお勧めのセットメニューを一つ注文するイメージです。食事でも栄養バランスが大事なように、資産配分でもタイプの異なる投資信託を組み合わせてバランスを取ることが重要です。

会社ごとに確定拠出年金で選択できる投資信託のラインナップは異なりますが、多くの場合、5つのカテゴリー(国内株式型、国内債券型、外国株式型、外国債券型、バランス型)の投資信託は用意されていると思います。

アラカルト分散投資とは、このうち国内株式、国内債券、外国株式、外国債券の4つに25%ずつ均等配分する方法です。異なる価格変動リスク、期待リターンを持つ複数の投資対象に分散投資することで資産全体の価格変動リスクを抑え、リターンの安定化を狙います。 もし同じカテゴリーに複数の投資信託が並んでいる場合はそれぞれの過去の運用実績や純資産総額、運用期間の長さ、運用管理費用(信託報酬)などを見比べた上で配分する投資信託を絞るか、あるいは単純に25%の配分を複数商品の数だけさらに均等配分するという手もあります。

よりお手軽なのはセットメニューおまかせ投資でしょう。これは簡単に言ってしまえば、バランス型のカテゴリーの投資信託をどれか「一つ」選ぶだけです。複数のバランス型投資信託が並んでいる場合は先に述べた実績や費用といった切り口で比べる他、「積極運用タイプ」「安定運用タイプ」など期待リスク・リターンの度合いによって、複数タイプが用意されている場合には、あまり考え込まずに今の自分に合うと感じたものを選びましょう。

バランス型の投資信託はそれ一本で国内外の株式、債券等に分散投資できる商品ですので、複数のバランス型に配分する必要はありません。レストランでセットメニューをいくつも頼まないことを思い起こしてください。

投資信託への資産配分を検討する上での二つの方法をご紹介しましたが、実はもう一つ奥の手があります。次回はその「究極のおまかせ投資」をご紹介します。

筆者プロフィール:本庄洋介

フィデリティ投信 法人/年金ビジネス本部 シニアマネージャー。

2006年フィデリティ投信入社。確定拠出年金を含む法人/年金業務全般に携わる。2014年にはフィデリティ・インターナショナルのロンドン拠点に駐在し、英国の確定拠出年金市場の調査に従事。京大院卒。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー。
※写真は本文と関係ありません

(フィデリティ投信 本庄洋介)