NTTドコモとEngadgetが共同で開催した、女性参加者のみによるハッカソン「女性だけのEngadget電子工作部」。NTTドコモのIoTプラットフォーム『Linking』を使い、女性の「あればいいな」「どうしても欲しい」をかなえるガジェット開発に取り組みます。

今回のイベントは、3月12日のDay1でアイデア出しからモックアップ製作、発表まで行ない、3月26日のDay2でガジェットを完成させプレゼンテーションを行なう構成です。Day1で出てきたアイデアはどのような形になったのでしょうか? 前編ではDay1の模様を紹介してきましたが、後編となる今回はDay2の模様をリポートします。

・前編 Day1(3月25日公開)
・後編 Day2(この記事) 

【ギャラリー】Linking Day2 (34枚)

「あればいいな」「どうしても欲しい」の実現へ向けて試行錯誤した2週間

Days1からDays2まで与えられた時間は2週間。7班に分かれて開発を行ないましたが、各班はFacebookグループなどで連絡を取り合いながら、Days1の講評を元にアイデアをブラッシュアップさせ、設計や仕様を固めていきました。Days2ではプレゼンまでの5時間でガジェットを完成させないといけません。

Days2では、話しながら問題解決を行なって作業を進めていく班がある一方で、黙々と自分が担当する作業を進めていく班に分かれました。中には想定しているガジェットの仕様とLinkingの仕様の狭間で開発に行き詰まる、アイデアにおける悩み等で会場のアドバイザーから助言をもらう班も。

また、Days1に続きスイーツタイムを開催。今回はLinkingとEngadgetのロゴ入りプリンが配られました。

Linkingで作る「あなたが欲しいモノ、サービス」ガジェットのプロトタイプ発表!

Days2の製作時間も終わり、いよいよガジェットのプレゼンへ。今回、コメントするメンターは、東京大学先端研特任研究員、博士(工学)の松村礼央さん、アイデアプラント代表の石井力重さんと前回講評したお二人に加え、ゲストとして株式会社NTCの野崎智央さんに、株式会社ブレイブブリッジの内野力さん、そして株式会社TBWA HAKUHODO QUANTUMの岸野泰幸さんのお三方も加わりました。以下、発表順に紹介します。

6班:体臭の度合いが分かる社員証ホルダー



「MUSSHU」:男性を対象にした身体の匂いやすさをお知らせする社員証ホルダーです。「温度・湿度が高いほど不快指数が高くなり匂いやすい」という点から温度と湿度を、「活動量が大きいと汗をかいて匂いやすい」という想定の元で加速度を、それぞれホルダーで計測。

アプリでは、ホルダーのセンサーから取得した温度・湿度、加速度を元に匂う度合いを計算し、アプリ上ではポイントとして表示。一定のポイントまで貯まったらデオドラント製品のクーポンがもらえる仕組みです。

松村さんは「実際に不快指数というのを定義してマネタイズする理由をつけるというのはうまい、と思います。不快指数と加速度を使って計算するところがおもしろいですね」と、センサーのデータをサービスに活かす方法を高く評価。

東京大学先端研特任研究員、博士(工学)の松村礼央さん

石井さんは「湿度や気温を取れば熱中症対策にも使えますね。赤ちゃんを持つお母さん向けのグッズとしてもアリかな、と思います」とサービス展開のアイデアを説明しました。

2班:冷蔵庫内の不足した食材を記録するボタン



「カッテ」:冷蔵庫の中に食材がなくなっていないかどうかで悩まないように、食材の残量を記録するボタン。マグネットで冷蔵庫に取り付け、食材を使う度に押せばアプリで食材の残量が記録される仕組みです。ボタンは食材ごとに用意して設置。

アプリ上では食材の残量の一覧が表示されます。プレゼンでは、「カッテ」を使った食材管理を通してレシピサイトや宅配サービスなどと連携し、献立の提案や食材の宅配、健康管理を行なうといったサービス展開や、メーカーやスーパーと提携するサービス拡大案も紹介されました。

松村さんは「主婦がひとりで炊事するだけでなく、夫婦や恋人同士で家事を行なっている場合もあるので、残量の情報をどうやって共有するかまで考えられたら」と複数ユーザーの利用に言及したコメントをしました。

野崎さんは「サービス自体がすごくシンプルにできていてわかりやすいのに加え、サービス連携や拡大のところをよく考えられていますね」と、ガジェットだけでなくサービスの展開についてもくわしく企画されている点を評価。

株式会社NTCの野崎智央さん

5班:濡れている手でも使えるボタン&メモ



「こえタスク」: お風呂や炊事の時など手が塞がっている時、ボタンを押せばハンズフリーでメモが取れ、リマインダーとしても利用できるサービス。防滴仕様のボタンを押すことで専用の音声入力のタスクアプリがオンになり、声でタスクの入力ができる仕組みです。

ボタンにLinkingデバイスが内蔵され、ボタンを押すことがトリガーとなって、バックグラウンドで待機していたタスクアプリが利用できるようになります。

松村さんは音声認識の難しさを指摘し、「音声認識の精度を上げようとするのは大変。スイッチを押している間だけ音声認識をするようにすれば、少なくとも取るべき音声の区間は切れるので、そのタイミングだけでもちゃんと録音して認識に回すなら良いのでは」とアドバイスしました。

石井さんは「手が濡れているとか手仕事の中で今のスマートガジェットは使えませんが、そういうところに持ち込める可能性を作った。未来の当たり前になりそうな良いアイデアの本質を作られたのでは」とコメント。

アイデアプラント代表の石井力重さん

4班:就寝・起床を管理するスマホスタンド



「HAYO OKINA(仮)」:スマホ利用による夜更かしと朝寝坊を防止するためのスタンド。あらかじめアプリで設定した時間にスマホを置いて寝る、または起きてスマホを取らないと、アプリ上でキャラクターに注意される仕組みです。スタンド側にスイッチが設置され、スマホを置いたかどうかを認識します。

なお、キャラクターは大阪のおばちゃんや猫のぬいぐるみが用意されており、スタンドに差し替えることが可能。

石井さんは「これはIoTじゃないとできないこと、ではない気がします」と厳しめの発言。「壁におばちゃんデバイスが南京錠か何かでロックされていて、ベッドから5mでも出ないと止められないようにしておく。それだったらデバイスに意味性が出てくると思います」と提案をしました。

内野さんは「アラームより先に起きて準備している時に、アラームが鳴るのが嫌だったんですが、これだったらスタンドからスマホを取ればいいのですよね」とスタンド型の利便性に着目してコメント。

株式会社ブレイブブリッジの内野力さん

7班:ダラダラを防止する家事製品



「すぽ次郎」:帰宅すると通知を行なって掃除を促すスポンジと枕元に置くLEDデバイスのセット。帰宅するとBLEでスマホが通信し、スマートフォン上にスポンジの「すぽ次郎」から家事の提案が届きます。

「すぽ次郎」で掃除をすると内蔵の加速度センサーで働き具合を測定し、仕事ぶりに応じてdポイントが貯まる仕組み。逆に家事をせず放っておくと「すぽ次郎」から執拗にメッセージが届き、ベッドに行くと距離を観測して枕元のLEDデバイスが光り、休息を邪魔します。

松村さんは「トリガーとして計測するのが加速度でも何でもいいのですが、スポンジのデバイスで加速度を取ってdポイントと絡めた点はアリですね」とセンサーとポイントの連携について指摘。

石井さんは「新規性で考えるとIoT家事雑貨っていいですね。包丁を切る行為、あるいはバスタブを洗う行為など、単調な家事などに向かって横展開できそうだと思います」と家事とIoTの展開の可能性を評価しました。

3班:家でのダラダラを検知して注意



「だらだらキャッチャー」:自宅でダラダラと仕事しているのを計測し、自分の生活の見直しを図るサービス。ソファーやリビングなど怠けてしまうスポットに「だらだらキャッチャー」を、デスクなど仕事をする場所には「きびきびキャッチャー」を設置。どちらもビーコンが内蔵され、スマホからの距離を計測することでダラダラしているか仕事しているかを判断。

人気キャラクターのイラストに内蔵したLEDやアプリを使い、ダラダラしている場合はキャラが怒っていることをお知らせ。逆に仕事していると癒しの言葉をかけてくれます。

松村さんは「1時間おきにサンプリングを取っていて、その位置にどういう位置に自分がいるかをログで可視化する、というのは良いと思います。恋愛ゲームを実際の現実世界とリンクさせることができれば面白いのでは」と提案しました。

また、同じくアイデアを出したのが石井さん。「LINEとかTwitterを『きびきびエリア』に入ると自動的にOFFにしてくれて、その旨の通知がLINEやTwitterの中で出せるようにすると良いんじゃないかな」とコメント。

1班:電車が来るまでの時間を知らせる鍵



:光で電車やバスに間に合うかどうかをお知らせしてくれる鍵。使うにはあらかじめアプリに住所と乗りたい駅・停留所を入力。後は鍵を閉めた時に鍵に内蔵されたLEDが「青:ゆっくり歩いて大丈夫」「黄:早歩きでOK」「赤:走らないと間に合わない」という具合に光って教えてくれます。

この「COLOR SIGNAL」ではアプリ側で時刻表を取得し、鍵を閉めた時に距離と速度から間に合うのかどうかを計算する仕組みです。

松村さんは「センサーは鍵につけていると思うのですが、多分、錠前側にセンサーがあっても同じことができるのでは」と話しつつ、「『カチャッ』ってやった時のスイッチに加える圧力で発電して、無線で電源を飛ばすデバイスがあるのでそういうのを使えばできますね」と実現可能性についてコメントしました。

また、岸野さんは「私はIoTデバイスを作っているのですが、鍵を閉めるという、普段、当たり前のようにやっていることがトリガーになっているのは良いと思います」と評価。

株式会社TBWA HAKUHODO QUANTUMの岸野泰幸さん

今回のハッカソンで発表されたガジェット・サービスは忙しい女性が抱える切実な悩みがアイデアの元になっていますが、実際に形にしてみると「実は多くの人の悩みを解決できるのでは?」という可能性が見えてきました。また、日常の悩みをIoTを使うことでどんな解決へのアプローチが開けるのかを考えられた点で有意義なイベントになったのではないでしょうか。 

【ギャラリー】Linking Day2 (34枚