8月に開催されるリオデジャネイロオリンピックから、ゴルフが112年ぶりに正式競技として復活。その出場権をかけた争いが日本の女子ゴルフ界でも白熱している。

 まずは出場条件を改めて確認しておきたい。

 出場資格を得られるのは、男女とも60名。2016年7月11日時点での、世界ランキングをもとにしたオリンピックランキングによって決定される。その詳細な条件は、以下のとおりである。

(1)世界ランキング上位15名までの選手で、各国最大4名までが出場資格を得られる。
(2)世界ランキング16位以下の選手は、1カ国2名(15位以上の有資格者も含む)を上限として、出場資格を得られる。
(3)5大陸ごとに、最低1名の出場枠が保証される。
(4)ホスト国のブラジルは、最低1名の出場枠が保証される。

 現在、日本の女子選手で世界ランキング上位15位以内の選手はいない。その現状を踏まえれば、7月11日時点で、日本人選手の中で世界ランキング上位2位までに入れば、リオ五輪の出場権を得られることになるだろう。

 現時点(3月29日現在)で考えれば、世界ランキング38位(五輪ランキング18位)の宮里美香と、同42位(同21位)の野村敏京(のむら・はるきょう)が出場権を獲得するが、世界ランキング44位の大山志保、同58位の渡邉彩香、同61位の上田桃子らが僅差で続く。今後の結果次第では、誰が代表切符を手にするのか、まだまだわからない。

 そうした状況にあって、ランキング上位で五輪切符を争う選手たちはどんな思いで戦っているのだろうか。

 リオ五輪出場を明確な目標に掲げているのは、現在日本人トップの宮里美香だ。今季はここまで、7試合に出場して最高位は15位タイ。「まだまだ納得できるゴルフはできていない」と語るが、五輪出場へのモチベーションは高い。

「昨年の8月くらいから、リオ五輪のことは意識し始めました。以来、『五輪に出場する!』という気持ちが強くなりましたし、私を支えてくれるチームも(五輪出場へ)一丸となって動いてくれています。

 そもそも、私は日本代表として(大会などに)出場するのが好きなんですよ。そういうチャンスって滅多にないんですけど、今年はそのチャンスが巡ってきている。その貴重な機会を、できれば逃したくないんですよね。

 ただ、五輪出場だけを考えてプレーすればいいというものではありません。それに執着し過ぎるのも、よくないと思っています。あくまでも、五輪出場は通過点であって、何より大事なのは、私の主戦場である米ツアーで結果を出すこと。米ツアーで自らの目標をひとつひとつクリアしていくことができれば、五輪出場は可能だと思っています」

 五輪出場に対して、努めて冷静に語る宮里。それでも、五輪出場の現実味が増していくにつれて、はやる気持ちは隠せないようだ。

「実は最近、自分のランキングがすごく気になるんです。試合が終わるごとに、頻繁にチェックしています(笑)。とにかく五輪は、私にとって新たな挑戦。まして、(今生きている)ゴルファーの誰もが経験したことのない舞台で、どんな雰囲気なのかさえわからない、本当に未知の世界。だから、余計にワクワクしますよね」

 一方で、今季躍進著しい野村敏京は五輪出場に対して、慎重な構えを見せている。

「リオ五輪ですか? 正直、まだ実感がないというか、現実的には考えていません。世界ランキングが上がっているとはいえ、出場権を獲得したわけではないですから。まだ今後、どうなるかわからないし、本当に(出場が)確実なものになってきたら、しっかりと考えていきたいです」

 野村は今季、2月のオーストラリア女子オープンで、悲願の米ツアー初優勝を飾った。その後も高いレベルで安定したプレーを披露し、3月29日現在、米ツアーにおける賞金ランキングは4位である。

「やっぱり優勝は、すごく気持ちがよかったです。今年は全体的にショットがよくて、パターもいい。このオフは、ショートゲームとパターの練習をたくさんやってきて、特にパターについては、距離感をつかむことより、タッチをしっかり合わせる練習に時間を割いてきました。その成果が出ているのかもしれません。今後も、ミスのない完璧なゴルフを目指して、2勝目、3勝目と結果を出していきたい」

 日本人選手で今、世界で最も力を発揮できるのは、野村だろう。五輪に出場すれば、メダルも期待できる存在である。しかし、リオ五輪出場については、「ブラジルは今、ジカ熱や治安の問題もある。危険な状況が続いていて、ちょっと怖いですよね......」と、やや消極的な感がある。出場権を得るまでは、自らの戦いに集中したい、といったところか。

 リオ五輪に対して、米ツアーを主戦場とするふたりは、現状では正反対の姿勢を見せたが、日本ツアーで戦う大山志保はどうか。昨年のLPGAアワードで(チームLPGAの一員として)特別賞を受賞した際には、「(来季の)一番の目標は五輪出場」と語って、五輪出場へ並々ならぬ意欲を見せていた。

「五輪出場のためにも、今までどおりの練習じゃあダメですね。死に物狂いで、後悔のないように準備していきたい。そして、プレッシャーのかかる場面でも、しっかりパットを決められるようにしないといけない。とにかく(五輪出場のためには)2015年シーズン以上の結果を残せるようにしないと」

 ところがこのオフ、「外国人コーチを探して、オフのトレーニング環境を変えたい」という計画などが頓挫。目標達成に向けて、当初思い描いていたような準備ができなかったという。

 そんなこともあって、ここに来て大山の五輪出場への思いは若干トーンダウンしつつある。今季3戦目、Tポイントレディスの際に話を聞いてみると、大山はこう語った。

「五輪出場については、あまり考えていません。それよりも今は、自分のゴルフをステップアップさせるために、気持ちのコントロールが必要だと思っています。つまり今、私の五輪に対する気持ちは、(メディアの)みなさんが想像しているものとは違ってきているかもしれません」

 大山にとっては、この先どうなるかわからないことに対して、一喜一憂してはいられないといった思いもあるのだろう。今は何より「目の前の試合を大事に戦うことが重要」とも語っていた。

 それぞれの思惑が交錯する五輪出場への道。イ・ボミをはじめ、熾烈な争いを見せる韓国勢と比べると、日本勢の争いは少し冷めた感がある。それでも、出場権争いが佳境を迎えれば、世の中の空気も変わって、選手たちの意識も変化していくはずである。ツアーの行方とともに、リオ五輪日本代表の座を誰が獲得するのか、注目していきたい。

text by Kim Myung-Wook