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トヨタ自動車は31日、イタリア・ミラノで4月12〜17日の期間に開催される「ミラノデザインウィーク 2016」に出展するコンセプトカー「SETSUNA」の全容を公開した。

「SETSUNA」はクルマを新しさだけ追い求める工業製品としてとらえるのではなく、「愛」が付く工業製品として愛着を持って労り、手をかけて受け継いでいくことで、家族だけの新たな価値のある財(=時間財)になっていくとの考えを具現化したコンセプトカー。外板などに木が用いられている。

開発責任者の辻賢治氏は、木の魅力を生かしたクルマづくりの開発を進めるにあたり、宮大工や船大工などに話を聞いたほか、コンセプトに共感した住友林業に早い段階から共同開発に加わってもらい、木の構造などの知識の共有はもとより、木材選択、加工技術・組付け方法の提案などを受けてきたとのこと。そして今回の発表では、「SETSUNA」の全容を11の"こだわり"として紹介している。

"こだわり"その1は「家族と時を刻む100年メーター」。短針は時間、長針は月日、カウンターメーターは年を刻み、その家族の歴史とともに一度も止まることなくともに歩んでいる時間を示し続ける。"こだわり"その2は「刹那エンブレム」。円と放射状のデザインによって「刹那の積み重ね」を表現しており、家族とクルマが年輪のように持続的に成長していくことを願っている。

"こだわり"その3は「木を用いることでコンセプトを具現化」。コンセプトである「歳月を経て変わることを愛でる」を具現化する手段として、手をかけていたわることで色や風合いが変化する木を材料として採用し、その変化は家族との絆であり、思い出を封じ込めたものだとしている。

"こだわり"その4は「用途に応じた木材の選定」。クルマとしての基本である、走る・曲がる・止まるといった性能を発揮させるため、構成部品でもある木材も適材適所の樹種を選択。外板は木目の鮮やかさや材質の柔らかさからなどから杉、フレームは高い剛性を保つ樺(かば)、フロアは強度が高く耐久性に優れた欅(けやき)、シートには木肌がなめらかな栓(せん)を使用している。

"こだわり"その5は「日本古来の伝統技法『送り蟻』『くさび』」。木の接合に釘やネジを使用しない日本古来の伝統技法である「送り蟻」「くさび」などを採用し、手間をかけて木と木だけで組み付ける面白さを持たせた。"こだわり"その6は「ボディは取り替え可能な木のパネル」。積み重なる想いを表現するため、ボディを86枚のパネルで構成され、修理しなければならなくなったときも全体を交換するのではなく、その1枚だけを交換することができるという。

"こだわり"その7は「拭き漆」。木目を生かすため、ドアミラーやシート、ステアリングホイール、ボディの帯状のラインなどに人が手間暇をかけて塗る「拭き漆」を採用。時を経て使い込まれることで濃淡や色合いが変わり、世界にひとつだけの味わいを醸し出す。"こだわり"その8は「家族を優しく包み込むシート」。公園の木製ベンチのように、誰をも優しく迎え包み込むようなシートをめざし、栓(せん)の木に漆を塗り、体がおもに触れるところには革を張ってある。

"こだわり"その9は「コントラストを生み出すアルミニウム」。ホイールキャップやステアリングホイール、シートなどの構成素材にアルミニウムを採用し、木々との調和を図った。"こだわり"その10は「美しいカーブを描くボディライン」。材料の木を時間をかけてゆっくりとしならせることで、ボディラインは船のような美しいカーブを描き、正面からみると七角形、側面や上方からだと紡錘形を描いたように見える。

"こだわり"その11は「クルマとして…、そしてクルマであるために…」。普通のクルマのように、そのままでは公道走行が行えない「SETSUNA」だが、「クルマとして走ること・操縦することの喜びはコンセプトカーであっても伝えていきたい、いつか試乗していただける日が来ることを心より切望する」とのメッセージとなっている。

(木下健児)