中国メディアの参考消息網は31日、英国紙「タイムズ」を引用して、中国当局が男性同士の同性愛をテーマとして扱った中仏合作映画『羅麦を求めて』を中国大陸部で上映することを認めたと伝えた。(写真は参考消息網の31日付報道の画面キャプチャー)

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 中国メディアの参考消息網は31日、英国紙「タイムズ」を引用して、中国当局が男性同士の同性愛をテーマとして扱った中仏合作映画『羅麦を求めて』を中国大陸部で上映することを認めたと伝えた。

 同作品は中国人男性とフランス人男性の「秘密の恋愛」を扱ったという。また、物語の舞台がチベットとパリであることも注目を集めていた。これまで中国では、同性愛を公然と扱った映画の上映が認められることはなかった。

 同作品の監督は王超。王監督は名監督として知られる陳凱歌の助監督を務めた。監督として初めて手掛けたのは2001年の「安陽嬰児(安陽の孤児)」。監督作品は2014年の「幻想曲(ファンタジア)」までで計6作品だ。

 王監督の友人である程青松監督は、同作品を「中国初の同性愛をテーマにした作品」と説明。中国で上映できることになったことを喜んでいるが、映画会社から当局を刺激しないようにと圧力をかけられ、SNSなどで同作品を語れないことには不満だと述べた。

 王監督の意向もあり、同作品は「同性愛がテーマ」を明示する宣伝は行わないという。

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◆解説◆
 中国では1980年ごろまで、同性愛者が「不道徳」として犯罪扱いされた。編者が知る芸術関係者の男性は同性愛者だったが、見識が高く人柄も好かれていたので、周囲が彼をかばって問題にならないようにしていた。

 中国政府は、同性愛を「精神病」の一種としても扱っていた。精神病の病名一覧から同性愛が削除されたのは2001年だった。その後の中国政府の同性愛に対する姿勢は「不支持、不反対、不提倡(支持しない、反対しない、推奨しない)」の「3つの『不』)と呼ばれるようになった。

 中国で、同性愛の結婚は認められていない。ただし、北京と上海でそれぞれ2007年と09年に行われた調査では、回答者の3割程度が、同性愛者同士の結婚を容認できるとの考えを示した。

 また2005年には商品名を「同志」とする同性愛者用コンドームが発売された。

 中国では長く続いた一人っ子政策の影響で、男性の出生率が異常に高い状態が続いた。法律で禁止されてるにも関わらず、医療機関に胎児の性別判定を求め、「女の子」と判明すると人工中絶する夫婦が後を絶たなかったからだ。2020年には「結婚適齢期なのに相手がいない」男性が1000万人以上になるとの見方もある。

 対策を施さないと社会不安の原因にもなりかねないので、中国政府が今後、男性の同性愛者に対して「理解」を進める可能性がある。(編集担当:如月隼人)(写真は参考消息網の31日付報道の画面キャプチャー)