トップに就任する西野朗氏は、過去の技術委員長たちとは違った仕事ぶりを見せられるか

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今年1月に行なわれた初の会長選挙に勝った田嶋幸三(たしま・こうぞう)新会長(58歳)の下、日本サッカー協会が新たなスタートを切った。

新体制の目玉人事として、元日本代表監督の岡田(武史)さん(59歳)が“ナンバー2”の副会長に、1996年アトランタ五輪のU−23日本代表やJリーグのG大阪、名古屋などの監督を歴任した西野(朗[あきら])さん(60歳)が、強化・育成部門トップの技術委員長に就任する。

田嶋さんと岡田さんは現役時代に同じチームでプレーするなど付き合いも長く、親しい間柄。また、西野さんがU−23日本代表監督を務めていた時に田嶋さんはスカウティングのサポートを行なうなど、こちらも気心の知れた関係。3人とも同世代で、トップの田嶋さんが働きやすい環境を整えることには大いに賛成だ。

ただし、仲がいいことには、よい部分も悪い部分もある。遠慮なく意見をぶつけ合い、いい方向に進むのか、それとも“なあなあ”の関係になってしまうのか。結局のところ、田嶋さんがふたりに何をどこまで求めるのかにかかっているんじゃないかな。

岡田さんは現在、四国リーグのFC今治のオーナーを務めているので、実質的には“非常勤”の副会長になるようだ。個人的には、せっかく協会入りするならそんな中途半端な形ではなく、100%打ち込んでほしい気持ちが強い。ただ、抜群の知名度を生かして協会のPR役に徹するというのもアリだとは思う。当然、田嶋さんもその部分への期待も大きいはず。

一方、西野さんの責任はより重大。日本サッカーの現状は決して順風満帆ではない。むしろ危うい立場にあるからだ。

男子のU−23日本代表こそリオデジャネイロ五輪出場を決めたけど、なでしこジャパンは4大会ぶりに五輪出場を逃し、フットサル日本代表も4大会ぶりにW杯出場を逃した。肝心の男子のA代表もここ数年はパッとしない。特に下からの突き上げに乏しく、主力の世代交代が進んでいないのは気がかりだ。

今年の秋にはA代表のロシアW杯アジア最終予選だけでなく、U−16、U−19など育成年代のW杯予選(アジア選手権)も行なわれる。西野さんにはA代表だけでなく、その他のカテゴリーの強化育成にもしっかりと関わり、仕切ってほしい。

過去の技術委員長はいずれも指導者としての実績に乏しかった。その仕事ぶりはA代表の監督人事を見ているだけという印象が強く、しかもW杯で結果が出なくてもなんの責任も取らなかった。はっきり言って、アマチュアだったよね。

その点、アトランタ五輪でブラジルを破った“マイアミの奇跡”や、G大阪でのJリーグ優勝、アジアチャンピオンズリーグ優勝など、西野さんの指導者としての実績や経験はこれまでの技術委員長よりもはるかに上。選手たちと同様に、常に結果を求められる現場で戦ってきた。そのプライドに期待したい。

だからこそ、新体制のスタートに当たっては、田嶋さんともども公約なり明確な目標なりを掲げ、達成できなかったらふたりとも責任を取るという覚悟を持って仕事に取り組むべき。

ぜひ日本サッカー界に新しい風を吹き込んでほしいね。

(構成/渡辺達也)