中国人旅行客による爆買いは日本に経済効果をもたらしているだけでなく、中国における日本製品の評価の高まりにもつながっているようだ。そして、中国では日本製品の高品質の背後には「匠の精神」があるという論調も多く、中国メディアの駆動之家はこのほど、中国が以前有していた匠の精神をなくしてしまったのに対し、日本はなぜ今でも匠の精神を保ち続けているのかという点について論じる記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国人旅行客による爆買いは日本に経済効果をもたらしているだけでなく、中国における日本製品の評価の高まりにもつながっているようだ。そして、中国では日本製品の高品質の背後には「匠の精神」があるという論調も多く、中国メディアの駆動之家はこのほど、中国が以前有していた匠の精神をなくしてしまったのに対し、日本はなぜ今でも匠の精神を保ち続けているのかという点について論じる記事を掲載した。

 記事は現在の中国にも日本と同じく「匠」と呼ばれる人びとが大勢いると説明。それでも現在の中国において「匠の精神」は稀有な存在であり、それゆえに熱烈に追い求める対象になっていると指摘している。つまり中国の一部の伝統工芸の分野においては匠や匠の精神は残されているが社会全体においては匠の精神は失われてしまったということだ。対照的に日本では伝統工芸だけでなく、あらゆる分野に匠の精神が反映されていると言える。

 なぜ中国から匠の精神は失われてしまったのだろうか。この点について記事は思想家の柳宗悦の見解を紹介しつつ、匠の精神と社会環境とには密接な関係があると説明。美しい工芸品はそれが属する社会の美しさを反映し、工芸品の醜さはそれが属する社会の醜さを反映するというのが柳宗悦の持論だと記事は紹介している。

 つまり記事は中国から匠の精神が失われてしまったのは、中国の社会環境が匠や匠の精神を支えなかったからだということに暗に言及している。匠の精神という「価値」に対する認識の欠けた社会こそ、それを失う原因になったということだ。
 
 では中国から匠の精神が失われたのはいつ、そしてどんなきっかけによるのだろうか。この点について記事は中国で工業が現代化した時がそれだと指摘する。さらに中国と対照的に日本の場合は工業が現代化した時、伝統工芸が守られただけでなく現代工業のなかにおいても匠の精神は発揮されたと論じる。

 記事は匠の精神を守ろうとする日本政府の積極的な取り組みを紹介。例えば1950年に施行の文化財保護法やそれに続く重要無形文化財保持者の認定、いわゆる人間国宝の制度の実施などにより伝統工芸における匠の精神がしっかり守られてきたと説明。では現代工業に息づく匠の精神については何が言えるだろうか。

 記事はこの点について興味深い分析を与えている。江戸時代の身分制度は現在の身分に甘んじるよう職人たちを形作る一方、職人たちはその身分のなかで自己表現あるいは自尊心を満たすために工芸技術の向上を追い求めたという分析だ。自分の製品に人生観を反映させようとする欲求や衝動はこの時代から現代に至るまで日本人や日本の社会に深く根付いており、これが匠の精神を日本社会に息づかせる力になっているのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)