2次予選でグループ首位を争ったシリアも最終予選に進出。そのほか、中国やタイも突破を決めた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 昨年6月16日のシンガポール戦(ホーム/△0-0)に始まったロシア・ワールドカップ・アジア2次予選は、3月29日のシリア戦(ホーム/○5-0)を持って終了。この2か国に加えて、アフガニスタン、カンボジアと戦った日本は、計8試合を消化し、7勝1分の無敗、27得点・0失点の無失点と、盤石の戦いぶりでグループ1位となり、危なげなく最終予選に駒を進めた。

【W杯アジア2次予選第8戦・PHOTOハイライト】 日本 5-0 シリア(2016年3月29日)

 
 日本を含め、最終予選に進出した12か国は以下のとおり。
※2次予選の各グループ1位と、同2位の上位4か国が最終予選に進出。
 
▼グループA
1位:サウジアラビア
2位:UAE
 
▼グループB
1位:オーストラリア
 
▼グループC
1位:カタール
2位:中国
 
▼グループD
1位:イラン
 
▼グループE
1位:日本
2位:シリア
 
▼グループF
1位:タイ
2位:イラク
 
▼グループG
1位:韓国
 
▼グループH
1位:ウズベキスタン
 
 今年9月から始まる最終予選では、12か国が2グループに均等に分かれ、6か国によるホーム&アウェー方式で戦い、各グループの上位2か国がロシア・ワールドカップ出場権を獲得。3位の国はアジア・プレーオフを戦い、勝者が北中米カリブ海地区の4位と大陸間プレーオフに挑む。
 
 最終予選の組み合わせ抽選会は、4月12日にマレーシアで行なわれるが、抽選の基準となるのが、FIFAランキングだ。突破を決めた12か国を上位から順番に2か国ずつ、第1から第6までのポットに振り分けて、抽選が行なわれる。このポット分けが、今後の最大の注目点だ。
 
 4月7日には最新のランキングが発表される予定だが、2次予選の結果を受け、ポット分けは以下のようになることが確実視されている。
 
●第1ポット
イラン/オーストラリア
 
●第2ポット
韓国/日本
 
●第3ポット
サウジアラビア/ウズベキスタン
 
●第4ポット
UAE/中国
 
●第5ポット
カタール/イラク
 
●第6ポット
シリア/タイ
 
 日本は第2ポットに入ると見られ、韓国との対戦は回避できそうだが(同じポット同士の対戦はない)、第1ポットを逃しただけに、FIFAランクでアジア上位2か国のイランかオーストラリアと同組になる見通しだ。
 
 いずれにせよ、2次予選を勝ち抜いてきた国同士で争われる最終予選で、簡単なゲームなどひとつもない。よりシビアな戦いに向けて、ハリルジャパンは今後、いかなるチーム強化を図っていくべきか。
 
 すでに記したとおり、2次予選の戦績は7勝1分、27得点・0失点と、ほぼパーフェクトな内容だった。
 
 気になるのは得点する“時間帯”である。
 
 計27ゴールの内訳を見ると、前半に奪ったゴールはわずか「7」。実に70パーセント以上のゴールが後半に生まれているのだ。後半に盛り返す力があるのは事実だろう。ただ、逆に言えば、オープンな展開にならないとゴールが奪えない“非力さ”も見て取れる。
 
 5-0の完勝を収めた先のアフガニスタン戦を振り返り、本田圭佑は「大差で勝ったことは評価されるべき」としつつも、「岡崎(慎司)の1点がなかったら、そういう展開にはなっていなかった」と捉え、チームの現状に厳しい視線を向ける。
 
「前半30分ぐらいまでの戦い方は、アウェーでのシリア戦(○3-0)やイラン戦(△1-1)から、あまり課題は解消されていないなっていうのは率直な印象です」
 
 本田の言うシリア戦は、前半は苦戦を強いられてスコアレスで終わっている。イラン戦の前半も相手のパワーとスピードに苦しみ、48分の武藤嘉紀の同点弾で勢い付いた後半は持ち直したものの、中盤で比較的自由にプレーできたのは、イランの運動量が落ちたからとの見方もできる。
 
 相手の体力も集中力も十分にある前半の戦い方に、日本は課題を抱えているのは明らか。相手のレベルが上がる最終予選で同じことを繰り返せば、イラン戦のように先制点を奪われるリスクは高まってしまう。これは看過できないことである。
 
 一方の守備面では、以前からハリルホジッチ監督が重視する「ブロック」の強度をさらに高めたい。
 
 サッカーダイジェスト誌上のインタビューで、指揮官は次のように語っている。
 
「ボールを前に運ぶと同時に、より速くブロックを押し上げていく。ブロックを前に進めながら、高い位置で守備をするということですね。そこでプレッシャーをかけて、ボールを奪えれば、カウンターが可能になる」
 
 長友佑都はシリア戦について、「ボランチも含めて前掛かりになっていた場面があった」と語っている。その結果、中盤にスペースが生まれ、相手のカウンターを喰らった。確かに修正すべきポイントではある。
 
 もっとも、“高い位置で守備をする”という意識が前線の選手たちにはあったのかもしれない。いかにそのバランスを整えていくかが今後の課題となる。長友も「攻撃的に奪いに行くのが無理だなと思ったら、全体的にコンパクトに締めてディフェンスラインを下げる守備も必要になる」と次善策を提案している。
 
 攻撃面だけでなく、守備面でもハリルホジッチ監督は選手の距離感について細かく指導している。国内組だけが集められた3月のミニ合宿では、守備側は1本のロープを4人が等間隔で持ちながらボールを奪いに行く練習メニューが行なわれ、「距離感とチャレンジ&カバー」(槙野智章)の意識付けがなされていた。
 
 複数人が絡みながら、連動性に富むスピーディな崩しや、自分たちからアクションを起こし、アグレッシブに奪いに行く守備など、基本戦術の共有に大きな問題はない。今後は、それをいかにブラッシュアップしつつ、足りない部分を補っていくか。
 
 シリア戦の監督会見で、ハリルホジッチ監督は強い口調でさらなる成長を誓った。
 
「我々のこの発展をさらに継続させたい。そして短所を向上させる。メンタルも、タクティクスも、テクニックもだ」
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)