朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)3月29日(火)放送。第26週「柔らかい心」第152話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一


152話はこんな話


新次郎(玉木宏)の余命がわずかと知ったあさ(波瑠)は仕事を辞める決心をする。

新次郎のXデーが気になる


今までずっと仕事を第一に考えて外を飛び回っていたあさが、優先順位の一番を新次郎にしようとすることに、なみなみならぬ覚悟を感じる。これまでずっと新次郎があさに尽くしてくれていたのだから、そりゃあお返しししないとなあ。
こうなると、今まであさが家庭を顧みず、仕事ばかりしてきたことまでも、このドラマの最後の伏線だったかのように見えてくる。

仕事も愛も手に入れてきた主人公が最後に何を選ぶのだろうか。

最終週、新次郎がいつ亡くなるか。最終回か。その1話前の金曜日か。惣兵衛(柄本佑)も五代(ディーン・フジオカ)も金曜日だった。「マッサン」のエリーも金曜日だった。はたまたもっと早いのか・・・。なんだかそんなことばかり考えて、1話たりとも見逃せないように、煽りに煽っている制作の思惑を感じてならない。本来、NHKはCM収入ではないから視聴率をそんなに気にしなくていいはずなのだが、数字がいいほうがいいには決まっているから、ゲストも次々投入(今日は山口智充)し、懐かしい炭坑編の人たち(梶原善、山崎銀之丞)も登場させている(ように見える)。
とはいえ、大森美香は、視聴率をあげるための釣り餌でドラマを構成するだけにはしていない。新次郎があさのために植えようとした樹木のエピソードに、彼女の作家性が表れていたように思う。植樹のエピソード自体は原案小説「土佐堀川 女性実業家・広岡浅子の生涯」にもあるけれど、大森が加えた添え木をするところにハッとした。植木屋(山口智充)が木にそっと添え木をした時、それがあさと新次郎夫婦の姿のように見えたのだ。木はあさ、添え木は新次郎だ。木がすくすくと伸びていくように新次郎は40年以上、ずっと寄り添い支えてきた。そう思うと、すでに泣けてくる。

もうひとつ、大森美香、すごい! と膝を打つのは、この、原案の植樹の話に書かれた一文から、新次郎新次郎の雨のジンクスを想像したのではないかと思えることだ。この一文は引用しない。単行本の236ページをぜひ確認してほしい。
(木俣冬)

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