本職ではないボランチでのプレーとなったが、原口は持ち前の推進力で「自分のカラー」を示した。進化した彼の姿は、日本代表の新たな武器になるはずだ。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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「何度も走っていたのでチャンスが来れば良いなと思っていました」
 
 シリア戦の90+3分、トドメの5点目を決めたのは交代出場の原口だった。
 
 最後の最後で結果を残した男がこの日、ピッチに登場したのは58分。山口の負傷による“緊急登板”だった。それまで気の利いた守備を見せていた山口が去り、攻撃力が売りの原口が入る――どのポジションを務めるのか注目を集めたなか、背番号8が真っ先に向かったのは予想とは裏腹に山口が担っていた中盤の底だった。
 
 その光景にやや驚きの色が広がったが、本人は「(山口)蛍が怪我をしなくてもボランチで出たと思うので、準備はしていました」と語る。
 
“ボランチ原口”。なかなかお目にかかれない姿も、持ち味を出そうとボールを持てばドリブルを仕掛け、何度もフリーランを繰り返す。やや、チームのバランスを崩した面はあったが、前への推進力を生み出したのは事実だった。
 
「間延びし始めて、相手も守備をさぼって前線に残る選手が増えた。僕が前へ行ってしまったこともあって、チームとしてバランスを失った面はあった。でも最後の20分で点を取れたので、攻撃的には良かったと思う。次はもっと守備面を考えなくてはいけない」
 
 原口がゴールを決めたシーンも、「自分の良さ」と語るスプリント力を活かして一気に駆け上がり、相手の注意を引き付けると、フリーになった長友のクロスに頭で合わせた。
 
 ボランチと言えばパサータイプや潰し屋タイプが連想されるが、チームに推進力を生み出す姿は大きな期待を抱かせる。
 
 本人も新ポジションへの挑戦に前向きだ。
 
「(香川)真司くんからはもう少しボランチを勉強しろみたいに言われました(笑)。
やるんだとしたらもっと学ばなくちゃいけないし、時間は必要だなと思いました」
 
 ただ、「ブンデスでいっぱい点を取れば前でも使ってもらえると思うし、幅を広げて行けたらと思います」と付け加える。
 
 本来の2列目もこなしつつ、ボランチでも存在感を発揮する。原口の進化した姿は日本代表に新たな武器をもたらすはずだ。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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