「まだ私たちはそのレベルに達していない」。ハリルホジッチ監督が、そう語った真意とは? 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 グループE最大のライバルであるシリアを5-0で退けた日本は、無敗・無失点でワールドカップ2次予選の首位通過を決めた。試合後、ハリルホジッチ監督は快勝劇に頬を緩ませ、「ブラボー」「スペクタクル」とチームを褒め称えた。
 
「非常に美しい夜だったと思います。美しい勝利をしたし、スペクタクルだったとさえ言えるかもしれません。本当にビッグチャンスがかなりありました」

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 17分のオウンゴールを皮切りに計5得点。さらに「失点もしなかった」のだから、賛辞を並べるのも当然だ。
 
 それでも指揮官は、9月から始まる最終予選に話が及ぶと、表情を引き締めた。
 
「ただ、日本代表というチームは、すべての面で向上できると思っています」
 
 とりわけ強調したのが、ゲームコントロールについてだ。『最終予選で、一番修正しなければいけない課題は?』との質問に、ハリルホジッチ監督はこう答えている。

「オーガナイズをキープすることでしょうか。我々が攻撃をしている時に、どのようにブロックをキープできるかが鍵です。ゲームをコントロールするところですね。今日は集中が欠けたせいか、ボールを簡単に相手に渡す場面がありました。ディフェンスの厳しさを、我々のイメージとして定着させなければいけない。本当のチームのクオリティはそこに出ます。

 しかし、まだ私たちはそのレベルに達していない。今日は我々のホームで試合をしましたが、アウェーではどうなるでしょう? 相手が先に点をとったら、審判が我々に不利な状態だったらどうでしょう? そうすると困難に陥ります」
 
 確かに、日本はゴールラッシュを披露する一方で、シリアのカウンターを浴びて何度か決定機を作られている。GK西川のファインセーブや長谷部の懸命なスライディングによってことなきを得たが、相手のレベルが上がる最終予選で同じ失敗をしたら、失点に直結しかねない。
 
「我々の弱い時間帯と、強い時間帯があります。そこで我々のエネルギーをどう使うかが肝心になります。いろんなことをコントロールしながらやらなければいけない。時々は時間をかけることも必要だと思います」

 しゃにむに攻めるではなく、劣勢の時間帯はボールをポゼッションしてスローダウンさせながら、試合をコントロールする。こうした趣旨の発言は、就任当初には聞かれなかったものだ。口を開く度に「縦に早い攻撃」を強調していた指揮官が、新たな引き出しを開けたと言ってもいいだろう。
 
「2次予選が終わり、今度は第2段階が始まります。おそらく、想像以上に難しいことが待っていると思います。我々よりも強いチームが来るわけで、我々に大きな問題を起こすチームもあるでしょう。我々の弱い時間帯に、もっとゲームをコントロールしなければいけないと思います。

 それは守備の厳しさですね。もっとコミュニケーションをとるとか、みんなで固まってブロックを作るとかですね。そういったことを、まだまだディスカッションして準備していかなければいけないと思っています」

 この2次予選や何度かの親善試合・キャンプを通して、ハリルホジッチ監督が「土台、基礎をしっかり作る」と語った「第1段階」は終わった。これから日本代表は、最終予選に向けて「ゲームコントロール」や「守備の厳しさ」を重視した次のステップに進もうとしている。

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