グループ首位で2次予選を通過した日本は全試合を完封。シリア戦でも、CB吉田(22番)や西川(12番)らの奮起もあってゴールを許さなかった。写真:サッカーダイジェスト

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 シリアを5-0で下し、グループ首位通過で最終予選進出が決まった。日本の実力からすればこのステージを突破するのは当たり前だろうけど、まずはしっかり結果が出たのは良かったし、なにより収穫は、今予選6試合を無失点に抑えたことだ。

【シリア戦PHOTOハイライト】香川が2得点・アシスト! 無失点で首位通過

 
 この2次予選を振り返ってみると、守備意識の高さが感じられた試合は少なくなかった。シリア戦でも、攻→守への切り替えの早さや球際への積極的なチャレンジが見られ、サボるような選手は誰ひとりとしていなかった。特に、前線からのディフェンス、中盤の選手のプレスバックは目を見張り、誰がピッチに立っても遂行していた。
 
カウンターからチャンスを作られていたのは看過できないものの、チーム全体に守備意識が浸透していて、90分集中を絶やさなかったのは今後につながるはずだ。
 
 それともうひとつ、アフガニスタン戦に比べて、攻撃のテンポが良かったことにも触れておきたい。
 
 最も大きかったのはサイドで起点が作れたこと。左では宇佐美のキープ力が活きて、長友の攻め上がりを上手く引き出せていたし、右では本田と酒井高の関係性もまずまず良かったと思う。サイドを活用しつつも、香川と岡崎のコンビネーションで中央突破を図りながら、個々が良い距離感を保ったなかで攻撃の形を作っていた。
 
 なおかつ、今予選で一番と言っていいほど、サイドチェンジも非常に良く機能していた。一方のサイドから攻め崩すだけでなく、相手を引きつかせておいて、タイミング良く逆サイドへ展開してからパスワークで崩してシュートチャンスまで持ち込む。そういった場面が多く見られたのもこの試合での収穫のひとつだと思う。
 
 もっとも、前半から多くのチャンスを作りながら、相手にダメージを与える2点目を決められなかったのは反省すべきだ。結果的に、香川が後半に2点目を奪ってから相手が崩れたおかげで5得点したけれど、そんなシチュエーションは最終予選では皆無に等しい。相手のレベルが上がればチャンスも限られるので、技術レベルの精度は上げてもらいたい。
 
 少し視点は変わるが、物足りなさで言うと、個人的には本田のパフォーマンスに物申したい。
 
 もちろん、すべてにケチをつけているのではない。出場6試合すべてでゴールを奪ったり、シリア戦でも攻撃にリズムを生み出したりと、プレークオリティの高さが不変なのは評価している。
 
 でも、それだけ存在感を放てる選手だからこそ、やはり“もっと左足で貪欲にゴールを狙え”と言いたい。ヘディングでのゴールが悪いとは言わないが、アタッキングサードでもっと積極的に仕掛けたり、ミドルレンジからシュートを狙ったりするのが彼のストロングポイント。それが消えていたのが気になったし、ゴール前でのラストパスだけで終わらず、左足で豪快に狙いに行くべきだと思う。そのような「個」の怖さが、おそらく最終予選でも効いてくるはずだ。
 
 それと、これは以前から言われていることだが、主力を突き動かすような選手の台頭も望まれる。
 
 例えば右サイドバックに目を向けると、今回の2連戦で酒井宏、酒井高の両選手とも特大なインパクトを与えたとは言い切れない。すなわち、他の選手が入り込む余地があるという点を踏まえれば、ポジションを奪う気概を見せるような選手がJリーグから出てきてもいい。
 
 センターバックにしても、ブラジル・ワールドカップでコンビを組んだ吉田、森重が2年後も安泰だとは言い切れないので、それこそ、リオ五輪代表の植田や岩波あたりがポジションを奪う覚悟を持ってほしいくらいだ。
 
 もちろん、欧州のトップリーグで戦う選手の格が上なのは当然で、国内組が彼らの壁を越えるのは簡単ではないとは思う。ただし、上手く競争を促さないとプラスαは生み出せず、ひいては、成長を滞らせる遠因にもなりかねない。
 
 2次予選は決して平たんな道程ではなかったが、9月にはこれ以上に厳しい戦いが待っている。6月のキリンカップでは、新たな収穫が見られることを期待したい。

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