「助けて」と言えない 子どもの自殺 。原因と対策法とは

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執筆:井澤佑治(ライター)
監修:坂本忍(医師・医学博士)


18歳以下の子どもの自殺は、新学年のスタートが近づいてくる4月の初めや夏休みの終わりに、増えることがわかっています。
これは不登校が始まる時期とも重なっています。親や教師をはじめ、周囲の大人はどのようにフォローしていけばいいのでしょうか。

子どもの自殺 の原因は?


文部科学省の資料によれば、小学生の自殺の原因・動機は男女ともに「家族からのしつけ・叱責」がもっとも多く、女子では「親子関係の不和」も同率で最多となっています。また、小学生の男子では「いじめ」による自殺の割合が0%となっているのに対し、女子では11.1%と多い割合になっています。

中学生では、男子は「学業不振」、女子では「その他学友との不和」という理由がもっとも多く、男女ともに「いじめ」も理由としてあがっているものの、女子では4.2%、小学生のときよりも低い割合となっています(男子は5.8%)。さらに女子の自殺の理由としては「うつ病」(11.1%)もあげられています。

また、高校生男子では「学業不振」「その他進路に関する悩み」が自殺の原因・動機として多くなっているのに対して、女子では「うつ病」が21.8%ともっとも多くなっています(男子は11.6%)。

日頃から「心の健康」のケアを


ただし、上記のような自殺の原因・動機は、あくまで後日の聴き取り調査や遺書によって判断されたものであり、子どもが実際に自殺に至るまでには、さまざまなストレスや精神的プレッシャーの影響も考慮する必要があります。

現代は、子どもでもスマートフォンやパソコンから簡単にあらゆる情報にアクセスできる時代。
そこには、自殺をはじめとする世界の悲惨なニュースや映像も含まれています。こうした、情報による無自覚なストレスから子どもを守ることも、大人の役割といえるでしょう。
これを「情報の暴力」だという人もいます。

子どもは「助けて」といえないことも


また、近年増加している子どもの「うつ」や、自殺の原因として問題となることの多い「いじめ」には共通点があります。それは、両者とも、家族や周囲に自分が「うつ」っぽいことや、「いじめ」にあっていたりすることを隠そうとする点です。

そのため、親や周囲の大人は、本人の態度や行動にあらわれる「サイン」を見逃さないことが大切です。下記に紹介するのは、子どもの「心の不調」につながっている可能性のある態度の一例です。

・頭痛・腹痛などの体調不良を頻繁に訴える(「仮面うつ」であることも多い)
・ひとりになりたがったり、部屋に閉じこもったりしがちになる「引きこもり」
・食欲不振や過食による肥満
・眠れない、あるいは起きられない、昼夜逆転

子どもの「うつ」に対しては、環境を改善することが有効といわれており、具体的な対策としては、長期の休みで乱れがちな生活のペースを、平常時に近づけていくことがあげられます。まずは、就寝や起床、食事の時間をキチンと決めて十分な睡眠を摂り、規則正しい生活を送ることから、夏休み明けへの対策をはじめるとよいでしょう。

病院にはどうかかる?


また、子どもの「うつ」に対する投薬治療には、副作用のリスクや危険性が指摘されていることから、医師やカウンセラーにかかる場合は、まず親が相談に行くなどして信頼のできる医療機関や施設を選ぶことも大切です。

病院が決まったら親子で受診し、医師からの治療方針は親が受け、子に伝えましょう。心の病は遺伝性や、家族性、家庭性をもっていることが多く、家族でいっしょになって治ろうとする心がなければ根治は難しいものなのです。

<執筆者プロフィール>
井澤佑治(いざわ・ゆうじ)
ライター、舞踏家/ダンサー。通販メーカーのコピーライターとして、健康食品などの広告を数多く手がけたのちに、ダンサーとして独立。国内外で公演やワークショップ活動を展開しつつ、身体操作や食事療法などさまざまな心身の健康法を探究する。現在はダンスを切り口に、高齢者への体操指導、障がいや精神疾患を持つ人を対象としたセラピー、発達障害児の療育、LGBTの支援などにも携わっている。