千葉大は一度は「卒業取り消しも含め、今後学内で検討」と発表していたが…

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女子中学生を約2年間にわたって監禁したとして、未成年者誘拐の疑いで身柄を確保されている寺内樺風(かぶ)容疑者(23)は、2016年3月に千葉大学を卒業したばかりだった。その千葉大が打ち出していた「卒業取り消し」を検討する方針が、「仕切り直し」になった。千葉大が3月29日、明らかにした。

千葉大では、犯行が在学期間中に行われたとみられることを重視。さかのぼって寺内容疑者に停学処分をくだし、卒業要件を満たさない状態にして事実上卒業を取り消すことを検討していたが、学内の法律専門家からは「さかのぼって処分するのはおかしい」と異論が噴出した。だが、「このまま卒業させていいのか」といった声もあり、改めて処分の方向性を検討し直すことになった。

停学期間は「卒業要件の期間に参入しない」

千葉大は2016年3月28日夕方に会見し、渡辺誠理事が寺内容疑者の犯行について謝罪した。合わせて、卒業の取り消しを検討する方針を明らかにした。ウェブサイトに徳久剛史学長名で出した文書でも

「卒業取り消しも含め、今後学内で検討していく予定になっております」

と説明していた。千葉大の学則第73条によると、懲戒の種類には「戒告、停学及び放学」の3種類があり、停学期間は「卒業要件の期間に算入しない」と定めている。会見での説明を総合すると、今後学内で懲戒委員会を設置し、寺内容疑者の在学期間にさかのぼって停学処分を検討する。停学処分を受けるとその分だけ卒業に必要な在学期間を満たさなくなり、卒業も取り消される、という理屈だ。なお、渡辺理事は工学部、徳久学長は医学部出身だ。

最速で3月中にも大まかな処分の方針がまとまる可能性

千葉大広報室によると、記者会見の直後から、学内の法律専門家から「さかのぼって不利益処分を下すのはおかしい」といった声が出たため、会見で説明した内容を一度白紙に戻して検討をやり直すことになった。千葉大では、会見での説明は「フライング」だったと説明しているが、それでも学内では

「何もしなくていい、ということにはならない」
「このまま卒業させていいのか」

といった声も根強いという。今後、法律面、手続き面で適切かどうかを確認しながら慎重に検討を進める。

ただ、寺内容疑者は静岡県内の病院で手当てを受けている段階で、29日夕現在、まだ逮捕状は執行されていない。今後、「逮捕→起訴→判決」といった司法手続きも待っている。ただ、大学内には判決を待たずとも処分は下せるという声もあり、最速で3月中にも大まかな処分の方針がまとまる可能性もある。