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住まいは、大きな財産です。これからの人生における様々な局面に大いに助けになってくれると思います。しかし一歩間違えば、住宅ローンという大きな負債が思わぬ事態を招く場合もあるのです。「わが家」という言葉そのままに心地よい暮らしを「わが家」で賢く実現するにはどうすれば良いのでしょうか。

○住宅を購入するメリット・デメリット

■メリット
・自分の家という精神的安定感・安心感が得られる。
・自分の好みにできる。自分を表現できる。
・ローン完済後は、老後の住居費を抑えられる。
・「住まい」という資産が残る
・子供にとって思い出の家が存在する

■デメリット
・地震や火災等の災害で財産=住まいを失うリスクがある。
・貯蓄の大半を拠出し、住宅ローンという多大な負債を負う。
・収入の低下・失業・病気等の状況変化でローンの返済ができなくなるケースも考えられる。
・身軽に好きな町や地域に転居しにくい。転勤や転職で家の対策を考える必要がある。

○購入するなら予算はいくらが適切?

わが家はマンションですが、30年以上前に購入しました。返済計画的には心配はしていませんでしたが、人生には絶対はありません。若かったので、預貯金をすべて住まいの取得に使ってしまうことになるので、万一返せない事態になったらどうすればよいかを事前にシミュレーションしました。

物件近くの不動産で購入予定の物件がいくらで貸せるかをリサーチしました。月々のローンの倍以上の賃料で貸せると分かり、管理費や空室リスク等を考えても賃貸すれば、ローンを返済しながら、小さなアパートを借りられそうでした。

転勤等で住まなくなったりする場合も考えられます。いくらで貸せるかは購入の際の重要なチェックポイントです。また住宅ローンの支払いが困難となったりした場合、日本の中古市場は特別人気の地域を除いて中古価格は極端に低下しがちです。売却損も十分考えられます。収益が高ければ一時的に貸したほうのメリットがある場合もあります。

○マンションを買うなら「マンションPER」に注目

「PER」とは株価を判断する投資指標の一つで、市場全体の株価収益率を表します。RERが低いほど、その銘柄の株価は利益水準と比較して割安であると判断できます。

「マンションPER」とは、金融指標のPERをマンション購入時の指標に置き換えたものです。マンションPERが低いということは、そのマンションから得られる収益(貸した場合の賃料)に比較して、購入価格が安いことを意味します。2014年の大都市圏の平均は、いずれも25前後の数値となっています。

収益率が良いと言うことは、資産としての応用価値が高いことであり、長い人生の中での様々な局面に対応しやすいことを意味します。わが家の当初の指数は13.3でしたが、現在は16.6程度です。それでも一般的な都内の数値と比較すると低い数値で貸し出し有利な立地です。

※株価収益率(PER)=株価/1株当たり利益
マンションPER=マンション価格/そのマンションを貸した場合の1年間の賃料収益

○平均余命で決める購入物件の築年数 - 老後にどう活用するか

住まいを資産と考えるうえで、子供のいない老夫婦が新築マンションを購入する必要性はさほどありません。反対に若い夫婦が築年数の古い中古住宅を購入した場合は、老後に老朽化し、建て替えが必要になったり、維持費が係りすぎたりするケースも考えられます。

「子供に資産として残す」「将来売却して高齢者施政に入居する」「終の棲家として住み続ける」「先々買い換える」など、それぞれの将来計画によって適切な購入物件の築年数が決まります。

○戸建か集合住宅か - 資産価値は戸建に軍配?

戸建思考の場合でも、土地から購入となれば、通常のサラリーマンにはなかなか手が出ないのが実情でしょう。価格に見合う狭小敷地は、戸建であっても果たして資産価値を将来ともに維持できるかどうか疑問です。以前に掲載したコラム「資産価値としての住まい-(2)」に記載したメリット・デメリットを再掲しますので、これらの一般的な価値基準に、自分達の価値観等を加味して考えてください。

通勤時間はかかっても「子供は自然豊かな環境で育てたい」と考える両親はあると思います。高層マンションの先駆者であるアメリカでは、高層マンションでの子育ての弊害も早くが論じられていたと、大学での住環境の授業では習いました。自分たちの価値観が大切で、その上で、デメリットを改善する方法があるか検討してみましょう。

■マンションのメリット
・都心や立地のよいところに住める
・鍵一つで外出可能
・一時的に住まなくなっても賃貸が容易
・土地から購入するのと比較して価格が安い
・自ら維持管理する必要がない
・火災等の類焼の被害が少ない

■戸建のメリット
・建替えが自由・建替えないのも自由
・土地が財産として残る
・管理費が不要
・間取りが自由、自己表現ができる
・リバースモーゲージが容易

※リバースモーゲージとは: 住まいを担保にして老後の資金を借り入れる制度で、死亡後に住まいを売却して精算するものです。1981年に武蔵野市でスタートしました。現在は厚生労働省の生活福祉資金貸付制度(窓口は各都道府県の社会福祉協議会)や地方自治体の独自の制度のほか、都市銀行でも扱っています。土地が担保対象であり、多くは戸建住宅のみが対象です。

持ち家のメリットを生かし、デメリットをできるだけ少なくするために対策を考えていけば、住まいは資産として存分に活用されると思います。

<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
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(佐藤章子)