カナダ・スウィフトカレントで開催されたカーリング世界選手権(3月19日〜27日)で、日本代表のロコ・ソラーレ北見(以下、LS北見)が準優勝に輝いて、五輪を含めた国際舞台で日本勢史上初のメダル獲得という快挙を達成した。

 参加12チームの総当たり戦で行なわれた予選リーグから、LS北見は安定したパフォーマンスを見せていた。世界ランク9位(大会後は6位に浮上)ながら、同1位のカナダ、3位のスウェーデン、4位スコットランド、5位ロシアといった強豪に競り勝って、9勝2敗の首位タイという好成績で予選リーグ突破を果たした。

 現地で全試合を観戦し、テレビ解説も務めていた石崎琴美氏(2002年ソルトレイクシティ、2010年バンクーバー五輪代表)は、そんなLS北見の戦いぶりについてこう語った。

「(LS北見の)彼女たちは、どのチームが相手でも、すべてのゲームでしっかりアイスを読み切ることを目標に掲げていました。勝敗よりもそこに集中することによって、大舞台でもプレッシャーを感じることなく、いつもどおりのびのびと、笑顔で自分たちのカーリングができていたと思います」

 石崎氏によると、LS北見は上位4チームによるプレーオフに入ってからも、気温やシート、ラインによって大きく変化するアイスの状態を把握してプレーできていたという。そして、それが「快進撃につながった」と評する。

「予選リーグから、メンバーがアイスリーディング(氷の状態を読むこと)に自信を持っていたので、ショットも、ラインコントロールも、スイープも迷うことなく、すべて噛み合っていた印象です」

 カーリングは、刻一刻と変化するアイスの状況を読みつつ、素早く、最善の判断が求められるスポーツだ。基本的にそれらは、経験によって育まれる能力である。しかし今回、(出場メンバー4人の)平均年齢23.5歳というLS北見は、他のチームと比べて圧倒的に若いチームでありながら、アイスリーディングの質の高さを存分に見せつけた。

 決勝では、優勝を意識して硬くなる場面も見られたが、今大会で世界選手権3連覇を果たしたスイスから2度もリードを奪うなど、世界の頂点にあと一歩まで迫った。もはやメンタル面の課題を克服できれば、世界女王の座に手が届くところまできた。

 その舞台は、五輪かもしれない――。

 今回、LS北見が銀メダルを手にしたことで、日本はオリンピックポイント「12点」を獲得した。

 2年後に迫った平昌五輪の出場枠は、10カ国。まずは、開催国の韓国を除いて、今大会と次回の世界選手権(2017年北京大会)におけるオリンピックポイントの合計によって、上位7カ国に出場権が与えられる。その後、残り2枠は世界最終予選で争われることになる。

 このレギュレーションは、前回の2014年ソチ五輪と同じ。その際、上位7チームのボーダーラインとなったオリンピックポイントは「9点」だった。つまり日本は、たとえ来年の世界選手権に出場できなくても、平昌五輪出場をほぼ確定させたことになる。

 LS北見のスキップ・藤澤五月は、「世界と互角に戦えるチームに」という言葉を口癖のように繰り返してきた。過去20大会にもおよぶ世界選手権や五輪で、日本はことごとく涙を飲んできたからでもある。しかし今回、LS北見がついに日本カーリング界の悲願でもあったメダルを獲得。世界でも戦える実力があることを証明した。

 振り返れば、LS北見が発足した2010年の夏、主将の本橋麻里は、五輪出場について「選手としての究極の目標ではあるけれど、現段階では夢です」と語っていた。

 悲願が達成され、夢が現実味を増した今、LS北見と日本カーリング界は、さらな高みを目指していくことになる。平昌五輪開幕までおよそ680日。それらの挑戦を、これからも見守っていきたい。

竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro