有働由美子アナ、「イッちゃう」発言まで…“自由”に見せかけた生真面目さ
 3月25日放送の『あさイチ』での有働由美子アナウンサーの発言が、再び話題になっています。

 ゲストの玉木宏が落ち着いた口調で話し始めると、そのトーンにまずイノッチが「やっぱりいい声だね」と反応。すると何を思ったか、有働アナが「この声聞いてると、イッちゃいそうに……」とカミングアウト。スタジオ中が困惑する事態が発生したのです。

 すかさずイノッチが「どこへ?」とフォローを入れ、事なきを得たのですが、ネット上の反応は様々。「こんなことを男が女に言ったらセクハラだろう」といった否定的なもの、機転を利かせたイノッチへの称賛もさることながら、やはり有働アナの無双っぷりに対して感服する声が多かった様子。「やっぱり怖いモンなしだわW」とか、「フリーダムすぎる」とか。

◆“奔放”を売りにするプロ意識

 これまでにも、おびただしくあふれ出すワキ汗や、崩壊するつけまつげ。朝ドラを受けての号泣。さらには、生放送中にもかかわらず後輩アナやリポーターへの容赦ないダメ出しなど、有働アナの奔放な振る舞いこそが『あさイチ』の売りだと言わんばかりの構成で押してきました。自由なポジションからズケズケと物申す有働アナに、視聴者が乗せられて番組にグルーヴを生み出しているのですね。

 けれども、そんな風に“自由”であることにとらわれ過ぎて、不自由に感じる瞬間があるのです。

 確かに、有働アナは聡明でウィットに富んでいます。共演者の言動を冷やかに肩すかしをするところと、わざと熱を上げて入れ込むところの区別も的確。視聴者からリアルタイムで寄せられる番組批判に対しても、ただ一方的に聞き入れるだけでなく、時には言葉を選びながら反論してみせる。

 それらは、“ナマ”の猥雑さを活かした演出だと言えるかもしれません。

◆フリーダムとは真逆の律儀さに、疲れてきた

 しかし、そのいちいちに、“あえてぶっちゃけた”感がついて回る。言い換えれば、“昔のNHKっぽくないこと”を前提とした自由に過ぎないのです。書き割りの馴れ合いをあざ笑う約束そのものが、台本で定められている。結局は、生真面目さの裏返しとして律儀にこなされる面白おかしさに過ぎないのではないでしょうか。

 だとすると、有働アナの暴れっぷりは、“フリーダム”とは真逆のプロ意識のたまものだと言わざるを得ないでしょう。彼女が『あさイチ』で輝けば輝くほど、視聴者はその技に嫌でも目を向けさせられてしまう。確かに面白い。しかし、それは疲れるのです。

◆読者の期待にひたすら応える

 過剰なサービス精神は、一昨年に発売された初の著書『ウドウロク』でも徹底しています。

 「男性が読んだら中年女が怖くなり、順風満帆に幸せになった女性が読めば軽蔑する」「四十半ばの女のひとりごと」とのフレーズから読者が抱く期待に、ひたすら応えるエピソードを披露しているのです。

 たとえば、独り身の中年が高熱を出すと「かわいいんでも、憐れでもなく、汚い」と言ってみたり。かと思えば、スーパーで一人分の食料しか入っていないカゴをよその子供に目撃され、「さびしい」と言われたり。

◆有働アナのぶっちゃけ芸はどこまでいく?

 そうしたネタの数々が、開き直っているようでいて、実はどこかから借りてきたような紋切型にとどまっているのですね。そうしたキャラ設定からのヌルい予定調和に、少し付き合いきれなくなってきたきらいもある。

 そう考えると、今回の「イッちゃいそう」発言は、ターニングポイントになるかもしれません。これ以上のぶっちゃけは、考えにくいからです。イクところまでイッたあとは、静かに眠るのみ。『あさイチ』は、日没を迎える時期に入ったと言えそうです。

<TEXT/沢渡風太>