オーストラリア・メルボルンで今シーズンのF1が開幕!

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ホンダのF1復帰2年目となる今シーズン。果たして、新生マクラーレン・ホンダは散々だった1年目を乗り越えて、かつての栄光を取り戻せるのだろうか? 開幕戦が行なわれたオーストラリア・メルボルンの舞台裏から見えてきたものとは…。

「初戦から優勝争いの一角に食い込める」などと語っていた新井康久・前ホンダF1プロジェクト総責任者の鼻息の荒さとは裏腹に、実際には上位争いどころか毎戦のようにエンジンが壊れ、マトモに走ることすらままならないという醜態をさらし続けたのが昨年。

その影響か、「ホンダ復帰景気」に少なからぬ期待を寄せていた日本のF1業界に激震のニュースが走った。今年からフジテレビのF1中継はCS有料放送の「フジテレビNEXT」のみ。1987年から続いていた無料のTV放送がついに打ち切りとなったのだ(ちなみに地上波での中継は2011年にすでに終了)。

また、同じく87年に創刊した老舗F1専門誌『F1グランプリ特集』までもが昨年12月で休刊…。ついでにバトンと道端ジェシカが離婚と、日本のF1界にはなんとも寂しい風が吹いていた。

しかし、今年の開幕戦を見る限りでは、去年のオーストラリアGPで感じた、あの「絶望的」な雰囲気とは違い、まだ「かすか」ではあるけれど、マクラーレン・ホンダの未来に「ひと筋の希望」が見えた気がする。

確かに、リザルトだけを見ると、今年の開幕戦もマクラーレン・ホンダの結果は正直言ってパッとしない(バトン=14位、アロンソ=リタイア)。

だが、実際に現地で見た印象として、今年と去年では「天と地」ほど…とは言わないまでも、「地上と地底」くらいの違いはあるかもしれない。

その理由は、新井氏に代わって今季からホンダの新しいF1プロジェクト総責任者に就任した長谷川祐介氏の存在だ。F1はおろか、モータースポーツ関連の経験すらほとんどなかった前任者の新井氏とは違い、長谷川氏は第3期ホンダF1(2000年から08年)で佐藤琢磨やジャック・ヴィルヌーヴの担当エンジニアを務めていた人物。

もし08年末にホンダがリーマン・ショックのあおりでF1から撤退していなければ、F1プロジェクトの責任者に任命されていたかも、と言われていた人だけに、F1の厳しさや英国のマクラーレンチームとのコミュニケーションの難しさ、大切さをよくわかっている。

そんなホンダの新責任者、長谷川氏に大きな「信頼感」や「期待感」を抱いているのは、どうやらタッグを組むマクラーレン側も同じようだ。

マクラーレンのレーシングディレクター、エリック・ブーリエ氏をパドックで直撃し、単刀直入に「ホンダ側の責任者交代がもたらしたプラスの変化は大きいんじゃないの?」と聞くと…。

「うん、お互いのコミュニケーションや仕事のやり方という意味で大幅に改善したし、お互いの情報のやりとりもよりオープンになっている。ハセガワさんが来てくれたことの影響は本当に大きい!」と、超ポジティブなコメントが飛び出した。

ハイテク技術のカタマリのような現代のF1を戦う上で、F1チームとパワーユニット(以下、PU)メーカーの緊密なコミュニケーションと連携は最も重要な要素のひとつ。当然、その基礎になるのは両者の「信頼関係」だ。

思い起こせば、昨年はマクラーレン側が「新井氏の解任をホンダに要望」との情報を英国メディアに意図的に流したり、現状認識や目標について両者の見解の違いが露呈することがあったりと、傍(はた)から見ても信頼関係が築けているとは言い難かった。

翻(ひるがえ)って、新責任者の長谷川氏は第3期ホンダF1活動において、エンジンサプライヤーの「BARホンダ」から「ホンダF1チーム」への移行期という苦労を最前線で経験しているし、英語でのコミュニケーション能力も高い。“遅すぎた感”はあるものの、長谷川氏就任によってマクラーレンとのコミュニケーションや信頼関係が改善できれば第4期ホンダF1にとっても大きな前進になるに違いない。

だから今年の開幕戦では1年前のような「絶望感」ではなく、見た目のリザルトよりも「ポジティブな何か」を感じることができたのだ。

●その「ポジティブな何か」とは…? 発売中の『週刊プレイボーイ』15号では、開幕戦現地ルポを通して、今年のホンダF1に見られた、前向きな兆しについてさらに詳細を伝えているのでお読みください!

(取材・文/川喜田 研 撮影/池之平昌信)

■週刊プレイボーイ15号(3月28日発売)「開幕戦現地ルポ 今年が第4期ホンダF1の本当のスタートだ!(汗)」より