いますぐドローン法制を整えよ、さもなくばこの国は取り残される:米国への提言

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デューク大学教授で同大人間社会学ラボディレクターのメアリー・“ミッシー”・カミングス。米海軍のA-4とF/A-18元パイロットで米国のドローン政策策定メンバーも務める彼女は、米国のドローン産業の発展を妨げる要因として「政策決定」の遅さを挙げる。

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ドローンはビジネス的に大きな可能性があるし、成長を続けてもいる。と同時に、現実に目を向けると、リスクも伴う領域だ。

UAV(無人航空機)市場は2013年には52億ドル規模だったが、23年には116億ドルに跳ね上がると予測されている。配達サーヴィスや映画の撮影、あるいは“空飛ぶ携帯電話用のアンテナ”としての役割に至るまで、何千もの仕事を創出し、低迷している航空宇宙産業の市場を再び活性化させることになるだろう。

同時に、ドローン愛好家への売り上げも急上昇している。現在、米国においてドローンオペレーターの登録者数は、すでに有人航空機の登録者数を上回っている。

その伸びと相関するように、民間航空機とドローンとのニアミスの件数は、過去2年間で2倍以上に達した。バード・カレッジのドローン研究センターが連邦航空局の報告を分析した結果によると、パイロットが衝突を避けるために進路を変更した事例が、28件あったとしている。

このブームの恩恵を得るために、そして逆に不都合を回避するために、米国の法機関はドローンについて明確で確固たる方向性をもった方針をつくらなくてはならない。この問題を提起すべき連邦航空局(Federal Aviation Administration:FAA)が足踏みをしていることで、米国の利益は、危険にさらされているのだ。

例えば中国市場では、小包を配達するのにもう何年もドローンを使用している。しかし、(米国では)こうしたビジネスへの許可を求める声に対してFAAが返答を保留しているがゆえに、米国のドローン製造会社は彼の国の同業者と競合できず、試験プログラムを海外で行わざるをえなくなっている。

Amazonの配達から捜索救助活動に至るまで、このテクノロジーが社会に大きな影響を与えるのは間違いない。

2014年、わたしは米国ドローン方針対策本部のメンバーを務めた。無党派のシンクタンク、スティムソンセンター(軍事背景の研究を中心としていることで知られている)によって開かれたこの対策本部では、海外における標的殺害から国内での空域規制に至るまで、米国のとるべき方針の戦略的意味を吟味した。そこでは、長期的な視野に立った安全保障と経済的な利益を実現できる方針を打ち出すべく現実的な策が作成された。しかし、残念なことに政府機関はほとんど前進していない。

まずもって、FAAは“無反応”そのものだ。対策本部が推奨した事項についての進展を評価するにあたり、スティムソン・センターはFAAに対してC評価をつけている。

では、こうした舵取りによって生じる不具合を是正するには、どうすればいいのか?

まず、オバマ政権は、ドローン業界における軍事・商利用双方を見渡し、省庁間を横断した再調査を率いるべきだ。商利用のマーケットが拡大し軍事活用の幅が広がるなか、そうした振り返りは、ドローン技術がいかに進歩したかを明らかにしてくれる。また、そうすることで、この国を優位にするのに必要なさらなる研究と開発のための全体的戦略が生まれるだろう。

次に、オバマ政権は、輸出規制法の見直しを続けていかなければならない。現政権は新たな輸出規制方針を展開し、ドローンを受け取った者に国際法に則った使用を求めている。しかしこの方針は、いまだ不透明なままだ。例えば、軍事用と民間用とを明確に分けることで規制上の障害を減らすこともできるだろう。

FAAが返答を遅らせることで、経済上、そして保安上の犠牲が生じえる。そして方針の見直しがない限り、米国はこのテクノロジーについて世界のリーダーとしての座を失うことになる。

テクノロジーの革新の歴史は、素晴らしい進歩に満ちている。それを導き、かたちにし、花咲くのを手助けする法的な枠組みは、しかしまったく追いついていない。

ドローンは道具である。賢く使用され、賢明な方針に支えられれば、とてつもなく大きな経済的、軍事的な好機をもたらすだろう。オバマ政権は、ドローンに関する、重要で、長く続く遺産を残すことができる。しかし、それを成し遂げるには、さらなる努力が必要だ。

2012年、TEDMEDで登壇する筆者。機械による自動化が医療業界にもたらす可能性について述べる。